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2017/08/19

雨の向こうに入道雲を夢想する今日この頃、いかがお過ごしだろうか。

さて、一週間前に頒布された東方天空璋について思うところをつらねてみたい。
まずは以下のように、ノーマルとエキストラをクリアした報告から。
天空璋ノーマルクリア2
天空璋エキストラクリア2


この天空璋、ノーマル全員ノーコンクリア、エキストラ全員クリアとも、歴代で最易と思えるほど難易度が低い。
過去にも特定の少女や装備では易しいということがあったが、
全体的にここまで簡単なゲームはかつてなかったのではなかろうか。
なにより、季節開放が強力だ。
ただ、神霊廟のトランスほどには強力になりすぎず、ギリギリで壊れ性能にはなっていない。
(全体的には弾幕の難易度自体が低いので、神霊廟よりもさらに易しい)
また、プレイ側の少女が、どのサブ季節も選べるため、4人のキャラの個性がそれほど目立たない。
むしろサブ季節選択がプレイスタイルを決定するようになっている。
端的に言って、初心者に優しい作品といえそうだ。

東方天空璋について避けられない話題は、6ボス=Exボスの摩多羅 隠岐奈(またら おきな)の元ネタ、
摩多羅神についてだ。
事前に天空璋のジャケットから、川村湊『闇の摩多羅神 変幻する異神の謎を追う』が種本ではないか、
という推測が界隈に流れていたことを知っている人も多いだろう。
私もコミケ前に『闇の摩多羅神』を読了し、これが5割方来るだろう、という予想だった。
この手の新作予想はわからないところで予想するのが面白いのであって、
ネタの割れた今作、東方天空璋は新作予想するに値しない作品となってしまったのは残念である。
(余談だが、twitterの方で4面ボスには笠地蔵が来ると予想し、見事的中させられたのは個人的に嬉しかった)

結果的には、(大方の予想通り)川村湊『闇の摩多羅神 変幻する異神の謎を追う』がドンピシャであった。
ドンピシャという言葉でも足りないかもしれない。
ZUN氏は、1ボス、5ボス、6ボス=Exボスのキャラ作りをこの本にほぼ依存していることが強く推測される状況である。
もはや「東方天空璋を考察するなら、『闇の摩多羅神』を読んでいないと話にならない」状況と言っても過言でない。
だから、私はブログ記事を書く気もあまり起きなかった。
「天空璋? 闇の摩多羅神を図書館ででも探して読めばいいよ」
と一言で済む雰囲気だからだ。
本書を読んでない人は、「そこまでは言い過ぎなんじゃないか」
「摩多羅神を題材にした書籍は他にもたくさんあるんじゃないか」
と言われるかも知れないが、まずは一読することを進める。
本当に、『闇の摩多羅神』の占めるネタのウェイトがあまりにも大きいのだ。

以下、ほんの一部を挙げるだけでも、
1面ボスのエタニティラルバが「常夜(ママ)神」というネタは、
『闇の摩多羅神』における「常世神」と秦河勝の関係のネタであるし、
5面ボスの爾子田里乃(にしだ さとの)、丁礼田舞(ていれいだ まい)の「天狗怖し」(同書では「天狗怖シ」)や、
「童子は狂気を跳ね踊る」(書籍中の「跳ね踊り」)、
6面ボスの摩多羅隠岐奈という、摩多羅神・翁という名前の由来(同書では猿楽の翁面=摩多羅神としている)
隠岐奈のセリフにおける「烏滸の沙汰」や、「秘神マターラ」という曲名の由来、
「秘儀『弾幕の玉繭』」(同書には、常世神信仰を率いた土着民と対立する養蚕の神の話が出てくる)や
「秘儀『穢那の火』」(同書には、摩多羅神=穢那天神(えなてんじん)=胞衣(えな)のタブーを浄化する火神
との話が出てくる)など、
数々のスペルカードの元ネタと、それこそ枚挙にいとまがない。
過去にも、例えば紺珠伝の純狐は『アジア女神大全』がネタ元だったり、
星蓮船が信貴山縁起絵巻が元ネタだったり、
さらに遡れば明石散人らの書籍の影響を強く感じる作品があったり、ということはあった。
しかし、東方天空璋のような、単一の書籍に極めて依存している作品というのは、極めて異例ではなかろうか。
(おまけに天空璋は、東方Projectの6ステージSTG初となる、
ラスボスとExボスが同じという、作者ZUNの「省エネ」が弾けた作品で、新しいエキストラボスが登場しないために、
ますます摩多羅神という元ネタに視点が集中してしまうきらいもある。)

もし、天空璋のジャケットのシルエットが、従来作品と同じように「ボス一人のみ」であれば、
摩多羅という名前が挙がるかもしれないが、おそらく誰も(私を含めて)
『闇の摩多羅神』という種本には辿りつけなかっただろう。
あれはZUN氏のうっかりミスだったのか、それとも、種本を探してみろ、という挑発だったのか、
あるいは、画像検索などの探索を過小評価し、頒布までばれないと高を括っていたのかもしれない。
真相はわからない。
ただ、あの早すぎるネタばらしが、新作の衝撃を抑え込み、ファンの興を少なからず削いでしまったのは残念である。

それにしても腑に落ちないことがある。
不思議なことに、ジャケットのシルエットの3人並んだ姿は、ゲーム内では再現されないのである。
Exボス摩多羅隠岐奈の立ち絵(6ボスの立ち絵というか座り絵ではない)、
両脇に爾子田里乃、丁礼田舞が並んでいるのだが、
エキストラゲーム本編では、ついに3人が並ぶことがないのだ。
あの並びは、『闇の摩多羅神』の表紙絵にもなっている、
「摩多羅神二童子図」(栃木県日光の輪王寺)を強く意識したシルエットである。
当初の予定では、エキストラステージの最終局面で2童子が登場し、ジャケット絵を再現するはずだったのが、
なんらかの事情で叶わなかったのか……。

ちなみに、もちろん『闇の摩多羅神』以外にも多数の雑多なネタが散りばめられている。
例えば、矢田寺成美(やたでら なるみ)のテーマ曲「魔法の笠地蔵」の曲コメント
「数え切れないくらい風変りな地蔵が全国に広まっています」は、
ZUN氏の蔵書で確認されている「ニッポン神さま図鑑」の味噌地蔵や縛られ地蔵などを念頭に置いた発言だろうし、
「秘神マターラ」の曲名に、真・女神転生II他に登場する「秘神マーラ」を思わせたい、というネタなのも間違いないだろう。
私が言いたいのは、全体に占める比重が『闇の摩多羅神』に集中しているということである。

なんにせよ、『闇の摩多羅神』については、とにかく読んでもらうのが早い。

さて、東方天空璋のもう一つの特徴は、セルフオマージュに徹していて、
「どこかで見たような、聞いたようなもの」で構成されている作品だということだ。
これは、プレイした人にはわかると思うが、
ネクロファンタジアに似た曲だったり、ユキ・マイを思わせる5ボスだったり、
四季異変や笠地蔵は花映塚を思わせたり、エキストラのサブ装備は地霊殿のパチュリーの土符だったり、
細かいところを挙げるともうキリがないくらいである。

テキストによれば、原作者ZUN氏の身内に不幸があったそうで、
工数を削減しなければならない切実な事情があったのかもしれない。

東方天空璋の特徴をまとめると以下のようになる。
・特定の書籍を種本にして1、5、6、Exボスを構成した。
・6ボス=Exボスというキャラの少なさ
・Exステージのサブ装備を一つに限定
・作曲、弾幕、キャラそのほかのセルフオマージュの多用
ここから天空璋は原作者の極限までの「省エネ」と「手癖」で作られた作品だと言えよう。

その上で、セルフオマージュの中でも積極的な意義を見いだせるのは、
「地霊殿でうまくいかなかった後方射撃オプション=土符タイプへの再挑戦」ではないか。
直前にFebriで明かされた茨歌仙がウナギの話だったように、
「土用」というのが天空璋のアクセントになっている。
ここで、パチュリーがかつて魔理沙に使わせた「土符」と同じようなオプションを、
「後戸を塞ぐ」武器として再登場させたのは、実に上手い。
(余談だが、オマケテキストの矢田寺成美の文で、魔理沙の後方オプションを提供したのは成美だと明言されている。
つまりパチュリーではないと、ZUN氏が強調しているわけだが、ここのこだわりも興味深い)
天空璋のエキストラを後方射撃主体でプレイさせるという発想については、
まさか東方地霊殿の頃からこの展開を考えていたとは流石に思えない。
摩多羅神=後戸の神というストーリーと、土符タイプの後方射撃の組み合わせをZUN氏が思いついた時に、
天空璋の開発が決まったのではないだろうか。
発想が秀逸な分、一部スペカで季節開放のゴリ押し可能など、調整がやや雑なのが惜しまれるエキストラだが、
話の展開としては東方Projectの歴史の中でも、かなり綺麗であると言えるだろう。

ついでだが、工数削減が効いたのか、致命的なバグはそれほどないようだ。
スペルプラクティスに幾つか不具合があるので修正パッチを待ちたい。

そして、(これも工数削減の余裕のおかげかもしれないが)エンディングのキャラクターの絵が、かなり良い。
紙への作画からペンタブに変えてずいぶん経つを噂されているが、
ここに来てようやく、ZUN氏がペンタブに慣れて来たのかもしれない。
輝針城のころの線がヨタついて妙に病的なエンディング絵と比べると、
天空璋のエンディングのキャラクター絵の線の良さは段違いである。

あまり色々と書いてしまったが、総じて、前作の東方紺珠伝がシステム面も難易度面も挑戦的な作品だったので、
反動という名の一休みを入れたというあたりが正解かもしれない。
ただ、従来の東方ファンにとってみれば既視感ありまくりの作品だとしても、
まだ東方に触ったことのない人にとっては、東方Projectへの入り口として良い作品ではないだろうか。
例え、どれほど省エネと手癖が効いていても、あるいは種本が割れていても、
東方天空璋自体はつまらない作品ではない。
気軽に遊べるし、摩多羅神という興味深い神をネタに展開されており、
東方に興味を持つ層への「扉」としては良い作品だと思う。






(ここから本題)






さて、東方天空璋最大の謎は、摩多羅隠岐奈が「後継者」を探している、
というストーリーが何を意味しているのか、ということだ。
(エキストラステージ後に、後継者探しは口実で、本当の目的は八雲紫と思しき他の賢者へのアピール、
ということが明かされるがそれは置いておく)
後継者探しが当然のように言及されているが、元ネタの摩多羅神には、
二童子(丁禮多、爾子多)の後継者を探している、などという伝説や由来はない。
言うだけ野暮かもしれないが、この東方天空璋のストーリーのネタは、同人ゲーム作家ZUNにとっての、
「何らか」の後継者探し、というイメージを想起させる。

では、具体的に誰(どのサークル)という候補はあるのだろうか。

里乃・舞は、隠岐奈の「手足」であり、
「もし、本当のことを聞いていたらどう行動しただろうか。
 それでも何も変わらないだろう。
 隠岐奈の言う事に逆らうこと等考えられないからだ。」
という設定テキストを読み、ZUN氏の手足となる二人を考えると、
メディアスケープ株式会社でPlay,Doujin!を展開していることでも知られる、
D.N.A. Softwaresに所属する二人、DNA氏とルー氏が思い浮かぶ。
ZUN氏の手足というには、K社の編集である豚氏なども思い浮かぶが、作家と編集という関係は手足とは言い難い。

一方、「同人ゲーム」の後継者、という側面を暗に匂わせているとしたら、どうだろうか。
STGで後継者になり得そうな同人ゲームサークルといって思い浮かぶのは、
えーでるわいす、クロスイーグレット、エンドレスシラフあたりだろうか。
ちょうど東方天空璋が頒布されたのと同じ会場で、
エンドレスシラフは「∀kashicforce -inundation of brigade-」という新作を発表している。

あるいは、もっと直接の後継者として、東京電機大学AmusementMakers出身サークル達、
つまり、西方Projectをかつて作っていた瞬殺サレ道、五月雨を作ったRebRank、
そして雪晶石を作った後解散したProject Noise
(現在は秋空シンセシスというサークルが引継ぎ、「雪景花」を作っている)
の3サークルを想起させたいのか。
ここで一つ、面白い類似があるのは、RebRankが作ったSTG「五月雨」のバリアが、
東方天空璋の季節開放を思わせることである。
特に、秋装備の季節開放は五月雨をどことなく彷彿とさせる。
また、チルノもイメージ的に雪晶石を思わせるとすれば、
もしかすると、東方の後を継ぐ(というかお株を奪う)ような同人ゲームサークルがなかなか出てこない現状で、
ZUN氏が、後輩サークルに密かに『早く俺を倒しに来い!」とエールを送っているのかもしれない。

いや、あるいは、某氏の二人の子供が妖怪じみているので、早く成長させて人間にしてやりたい、
という親の心が……という可能性もなくはない。

このように、様々なことを想像してみるのも、東方天空璋の楽しい遊び方ではないだろうか。
ではでは。
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2017/05/09

夏が立って歩きまわり始めた今日この頃、いかがお過ごしだろうか。

さて、昨日の2017年5月7日に第14回博麗神社例大祭で頒布された
東方天空璋 ~ Hidden Star in Four Seasons.
の3人のボスについて、(ノーマルを全キャラでノーコンクリアしたので)、
いくつか気になったところをちょいと書き記しておこうと思う。

・1面ボス エタニティラルバ
体験版のCDレーベルに描かれた人物がこの妖精、エタニティラルバである。
綴りはゲーム画面で「Etarnity Larva」、omakeテキストで「Etanity Larva」だが、Eternityの誤植かもしれない。
eternityは「永遠」、larvaは「幼虫」という意味。
「永遠」という(意味に近い?)名、「神に近づく蝶の妖精」であること、幼虫、蛹、成虫の要素を併せ持つことから、
事前の予想通り、常世神を元ネタにした妖精だろう。
「常世神」とは古代の駿河に始まったアゲハチョウを神と祀る信仰で、秦河勝に教団ごと滅ぼされたことが歴史書にある。
筆者は、心綺楼の事前予想で、秦河勝と面霊気を予想したついでに、常世神も予想をしたことがあったが、
ここでようやく登場したか、という感じである。
なお、蝶の羽根を持つ妖精(大妖精)は、雑魚敵としてよく登場する。
エタニティラルバのキャラ説明テキストに、普段は「パワーアップアイテムを数個持参して遊びに行く」とあるように
彼女も、いつものSTGではボムのかけらなどを落とす、ちょっと強めの大妖精をイメージしているのではなかろうか。
(妖々夢4面のプリズムリバー戦直前の大妖精や、風神録6面の神奈子戦直前の大妖精など)

妖精関連で色々扱えるほか、虫同士リグルと、常世神関連で秦こころと絡ませるなど二次的扱いが容易そうではある。
三月精にも登場するかもしれない。

テーマ曲の曲名は、シェイクスピアの(あるいはそれを原作にしたメンデルスゾーンの)
『真夏の夜の夢』からだろう。
真夏の夜の夢は、妖精の王オベロンと妖精の女王ティターニアが引き起こす喜劇なので、
そのイメージもあるか。オベロン・ティターニアは(神主もファンの)女神転生シリーズ常連の登場悪魔でもある。

・2面ボス 坂田ネムノ

種族「山姥」で、見た目も巨大な山刀を持ち、茶系の服を着た女性である。
「坂田」という姓やゲーム中のセリフから、金太郞(坂田金時)の母親が山姥という伝説がモチーフなのは間違いない。

ここで重要なのは、金太郞出生伝説がある土地の一つ、長野県大町市八坂(旧八坂村)が、
ZUN氏にとって「あの山奥での生活が私に与えたインスピレーションは多大な物だった」といわしめる、
なじみ深い土地であること。
ZUN氏のブログ博麗幻想書譜の2006年1月4日の記事「そして地図から消えた村へ」
で紹介されている、ZUN氏の母方の実家の村こそが旧八坂村なのだ。
「どんなホラースポットも顔負けのナチュラル妖怪ヴィレッジ」と神主も言う通り長野県でもかなり隔絶された僻地である。
そしてその旧八坂村の真ん中にある「大姥山」には、まさに金太郞の母親である大姥を祀った「大姥神社」が鎮座している。
大姥神社の周囲には、金太郞の産湯に使われたという池など様々な伝承が残されている。
こうなると、坂田ネムノの第一のモデルは、まず旧八坂村の大姥神社の祭神である「大姥」と見てよかろう。
なお、筆者も旧八坂村を訪れ、大姥山に登ったことがある。
以下のブログ記事を合わせてご覧いただければ幸いである。
旧八坂村探訪記1
旧八坂村探訪記2
なんといっても、「妖怪と神が一体となった信仰」が息づいている魅力的な場所であり、
坂田ネムノファンは(こっそり)一度訪れてみるといいかもしれない。
ただし、大姥山はクサリ場が続く急な斜面があるので、ルートによってはそれなりの山登りの服装が必要である。

なお、旧八坂村では、大姥と八面大王が恋仲になって、金太郞が生まれたという伝承がある。
旧八坂村の旅館、明日香荘の公式サイトの「大姥様と金太郞の伝説」では、
「大姥は有明山の八面大王と恋仲になり、大王の子を宿し産んだのが金太郎である。」
とある。
八面大王とは、魏石鬼(ぎしき)八面大王という長野県の伝説的な鬼、
あるいは8人の盗賊の呼称と言われている。
8人の盗賊といえば、初版蓬莱人形の「正直村の八人」が思い起こされるので、そちらの元ネタを考えるのも面白い。
しかし、まず八面大王が鬼だとすると、その妻がこれまた有名な「紅葉」だという伝承にも行き着く。
紅葉といえば長野県の戸隠の有名な鬼女であり、鳥山石燕の今昔百鬼拾遺にも「紅葉狩」として出てくる。
すると、八面大王を中心に、「金太郞の母である、旧八坂村の大姥」と「戸隠山の鬼女として有名な紅葉」を
重ねることも可能で、坂田ネムノに紅葉のイメージが入っていると考えると、
紅葉からの連想で坂田ネムノが「秋」を割り当てられたと考えることもできよう。
また、鬼女の紅葉は、10世紀の人物である源経基と都で一時期暮らしたという話もあるようだ。
すると、坂田ネムノの「浮き世の関を超える山姥」の「浮き世の関」とは、(慣用句の意味以外にも)
逢坂の関のことを指しているのかもしれない。

さてここまで、八坂や戸隠にスポットを当ててきたが、もちろん、
長らく神奈川県住まいで箱根の温泉も好きな神主のことだから、
足柄山の方も意識しているところはあるのかもしれない、と付け加えておく。

さて、「坂田」の方は金太郞関連で考えればいいが、「ネムノ」はどうだろうか。
ここで、かつてNHK Worldで東方特集が放映された時に映った、ZUN氏の仕事場の本棚の本に注目すると、
中野進『花と日本人』という書籍の中で「ネムノキ」について述べられていることがわかる。

「これで思い出されるのが、東北三大祭の一つといわれるネブタ祭である。
漢字で佞武多などと書かれるとどんな意味かわからない。
ネブタの「タ」は古い用法で「ノ」の意味であるから、「ネブタ」は
「ネムノ」つまりネムの木に由来していると考えられる。」
(中野進『花と日本人』2000年 146ページ下段9行目から引用)

「ネムの葉で目をこすると早起きができる。特に七夕の朝に行なうとよいとか、
また七夕の日にネムの木を伐りとってきて
『ネブタ流れろ、マメの木とまれ』と、唱えながら川へ流し、ネムの葉で目を洗うとよく見える、
といった民間信仰もある。」
(同、147ページ下段1行目から引用)

ここから、坂田ネムノの「ネムノ」は、ネムノキの意味と同時に、
東北のネブタ(ネプタ)を意味していると考えて良かろう。
坂田ネムノの特徴的な方言ぽい言葉使いは、東北の住民を意識したのかもしれない。
ただ、坂田ネムノはスペルカードやテーマ曲でも、ネムノキやネブタ祭をあまり考えさせない。
なぜ、ネブタなのだろうか。
ここで、ネブタが旧暦の七夕の時期に行われること、天空璋の初期タイトルが「天星璋」だったと思われることから、
(天空璋体験版のウィンドウのタイトルが「天星璋」だったり、
起動ファイルをメモ帳に突っ込むと「天星璋」の文字列があったりする)
もしかすると、(璋の字から北斗七星=天龍絡みでは? という予想を裏切って)星関係でも、
七夕関係の異変なのかもしれない。
あるいは、旧暦が幻想入りして約1箇月ずれることがモチーフなのかもしれない。
なにしろ、七夕が秋の季語であるように、本来の季節とずれてしまっているのだから。

・3面ボス 高麗野あうん
3面はなんと博麗神社でボスと闘う。
博麗神社がステージになるのは黄昏作品だと頻出だが、本家の原作STGではおそらく東方封魔録1面の
里香以来ではないか。
そのボスの高麗野あうんは狛犬キャラである。
神社の守護、一人で二人、というキャラ造形は、東方第一作目の東方靈異伝の最初のボスである
「シンギョク」を連想させる。

なお、高麗犬の「高麗(こま)」は、歴史学的な高麗(こうらい)ではなく、高句麗の方を指す。
高句麗の時代から、「高麗」という名称で呼ばれ、当時の日本でも高句麗を高麗と書いて「こま」と呼んだのである。
また、高句麗は「貊」とも呼ばれていたことから、貊=狛=高麗が、ともに「こま」と呼ばれるようになったようだ。
ただし、(話が複雑になるが)、「こまいぬ」と高麗=狛の関係は必ずしも明らかではない。
大陸で獅子だったものが、朝鮮を通じて伝わったため、犬だと思われた、など説があるようだが、正直よくわからない。
このような場合、神主の所有する書籍に何か狛犬に関する独特な記述があって、それを種本にしている可能性が高い。

さて、ここからは元ネタと確定している話ではないが、埼玉県に、
かつてその名も高麗郡と呼ばれる地域があったことはご存じだろうか。
高句麗(つまり当時の呼称の「高麗」)が唐・新羅に滅ぼされた時(西暦668年)、
多数の亡命者が日本に来ることになった。
日本の朝廷はそれら帰化人を武蔵国に住まわせ、高麗(こま)郡としたらしいのだ。
この古代の武蔵国高麗郡は、現在の埼玉県日高市や鶴ヶ島市の地域などに当たり、
その歴史を今に伝える高麗神社が残っている。
(以上の由緒も、「高麗神社」の公式ホームページの解説「高麗神社の由緒と歴史」を参考にしたものである)
この高麗神社は興味深いことに、ZUN氏が東方Projectを生んだ東京電機大学鳩山キャンパスがある、
埼玉県鳩山町に近い。
地図を見て貰えればわかるが、鳩山町の南へ少し行ったところが、古代高麗郡であり、高麗神社がある。
近年、同じく埼玉県の聖天宮が東方Projectの背景にたびたび使われるようになったことを思えば、
高麗神社も埼玉県ネタとして、高麗野あうんを通じて何らかの意味があるのかもしれない。
この高麗神社、将軍標が立てられるなど、韓国とつながりが深い。
もし高麗神社が何らかの元ネタとなっているなら、色々面白そうだ。
東方は、日本と中国のキャラは豊富だが、それ以外のアジア系はそれほどいない。
東方は韓国にも沢山ファンがいるので、案外そこら辺の二次的アプローチもありかもしれない。

さて、あうんは、霊夢が知らないにも関わらず、神社を守護している、という、
これまた意外というか、かなり強引なキャラ設定を持っている。
勘のよい霊夢すら知らないのに、神社の守護をしていて、しかも結構弱い。
原作者側の「東方のなんでもアリ感」の演出のために、このような強引というか掟破り的なキャラ設定なのかもしれない。
(二次創作を考えると、地霊殿エンディングで博麗神社のペットになったはずなのに、影も形もないお燐は、
実は高麗野あうんに追っ払われていたとか…… 
お燐とあうんの取っ組みあいを描くだけの薄い同人誌が出てもおかしくない)
設定だけ見ると、意外と古い妖怪なのかもしれない。
二次的には、先代巫女だとか、大昔の博麗の巫女だとかを語らせると良さそうなキャラである。
あるいは、儚月抄で霊夢が留守にしていた間に、高麗野あうんが神社を守る話なんかも良さそうだ。

キャラ設定テキストでは、「意図的に重大なものが隠されていると悟った」などと意味深な説明がされている。
もしかすると、5ボス~6ボスあたりのキャラに、なにか告げ口しに行くような展開かもしれない。
(神仏を見つけ出す能力があるので、石長姫だとか、龍神だとかに会うことも可能かも?)

さて、3人について、とりあえずの覚え書きはこんなところである。
システムなどについては、ハードやルナティックまでやらないとよくわからない。
特に、スコアエクステンドが季節解放をやった結果、どのくらい早くなるのか、
ノーマルレベルだと、あんまりよくわからなかった。
加えて、弾へのカスリなどもそうだし、4つもあるサブ季節の選択もいまいち把握しきれていない。
音楽も、今のところ、輝針城や紺珠伝ほどには、耳に残っていない。
もう少しプレイしないと、何も言えないという感じである。 

まあ、なんやかんや言って、製品版が楽しみである。

2015/05/15

さる5月10日の第12回博麗神社例大祭に参加した皆様、お疲れ様でした。

世はすでに東方深秘録と東方紺珠伝体験版の話で持ち切りですね。

「始まるわね。月の都を我が物にしようと、増長した月の民同士の穢れなき争い――月面戦争が」(東方儚月抄)
やっと始まったよ! 五年遅えよ! 何年も待たせやがって! 
……という全世界80億人の儚月抄ファンの歓喜の叫びを幻聴に聞きつつ、
私はとりあえず深秘録で名前が出てきた「深見」へ行ってみたのでした。

東方深秘録のラスボス、宇佐見菫子は東深見高校に通う一年生。
なんですが、深秘録の「深」を表す部分なのに、残念ながら菫子がセリフで触れるだけ。
ラストバトルが校内であるわけでもなく、高校についての情報は一切ありません。
そこで注目するのは「東深見」です。

深見という地名、全国で茨城県筑西市、神奈川県大和市、静岡県袋井市などにあります。
以前二軒目ラジオで、神奈川県の横浜と海老名に住んでいたと神主が明言していたので、
横浜と海老名の間にある大和市の深見を選んでみました。
行ってみれば、東深見高校はないものの(当たり前だ)、「深見神社」があるではありませんか。

大和駅から降りて東へまっすぐ、徒歩10分といったところでしょうか。
こんな神社です。
西の鳥居。
深見神社1

東の鳥居 春は階段が桜で覆われるそう。なんとなく東の山の中の某神社を思わせるたたずまいですね。
深見神社2

南から。うーむ、やはりどこかの神社に似ているような??
深見神社4

東から社殿。この季節は若葉が美しい。
深見神社3

社殿は明治九年に焼失、現在のものは昭和十七年に再建されたもの。瓦棒葺きの屋根が若葉の色彩と良く合っています。
さすが、延喜式にも載っている歴史のある神社だけあって、
広々とした杜と美しい社殿は、開放感と風格の良いバランスを取っており、気持ちの良い古社でした。
というわけで、皆さまお気づきの通り、この深見神社、原作ゲーム(黄昏除く)の博麗神社に似ている雰囲気があるのですね。
例えば、風神録エンディングなどで出てくる神社の絵などに似通っています。
妖々夢などのエンディング絵とはちょっと破風の感じが異なるのですが、妖々夢タイトル画面の絵にはやっぱり似ています。
そこで検証してみました。

社殿のアップ。
深見神社6

東方妖々夢のタイトル画面と比べる。
深見神社7

似ている! 似ている……が、どうでしょう。
個人的には、細部でピタっと嵌る「これだ!」という感覚がない。
惜しいかな、深見神社は少なくとも妖々夢のタイトル画面の神社ではなさそう。
今のところ言えるのはこれくらいですね。

さて、深見神社で注目するべきは、博麗神社と外観が似ている他にもう一つ、祭神にあります。

御由緒
深見神社8

この神社の注目すべき点の一つは、祭神が闇龗神(クラオカミのかみ)という雨神であること。
伊弉諾(イザナギ)が軻遇突智(カグツチ)を十拳剣で斬り殺した時に生まれた神とされていますが、
文字が霝+龍であることからわかる通り、日本では九頭龍と同一視される神です。
(伊弉諾物質に合わせて日本書紀の神名にすると、カグツチは迦具土ではなく軻遇突智になります)

しかしまあ、どうですか、この闇龗という、ロマンくすぐる神様の名前!
私なんぞは、闇の力に感化されたのか、いつもは一桁のお賽銭が、この神社では50円玉になっていましたよ。

もちろん、東深見高校の所在に関しては、京都という別の考えもありえます。東山・深草・伏見の合成というわけですね。
既知の秘封倶楽部、つまり蓮子とメリーが京都の大学に通っていること、
また神主が以前伏見稲荷の写真をtwitterへ投稿していたことから、京都説もありうると思います。
ただ、卯酉東海道で宇佐見蓮子の実家が関東にありそうな雰囲気を醸し出していたことから、
神奈川の深見がモデルとしては最有力ではないでしょうか。

それはともかく、せっかく東方深秘録で東深見高校という固有名詞が出てきたので、
深見神社含む深見という土地に注目するのも悪くはないかな、という感じがしますね。
わざわざ東深見という名を原作で出した以上、東方ファンが深見神社を注目するところまで、当然原作者は織り込み済みでしょう。
(ただし、現実には私立東深見高校という学校は存在しない(っぽい)ので、
メタ的な部分ではちょっと面倒な処理が必要になる場合もあるかもしれません。
菫子さんは5月10日を境に自分の名前をググると大量にヒットするようになったことに気付き、
学校へ登校するとヒソヒソと噂話をされ、ようやく今日(15日)秋葉原で深秘録を購入してみれば
自分の性格や思想が「おまけテキスト」で何者かにバラされていたことを知り
来週から不登校になって家で震えながら現実逃避(幻想入り)する毎日が待っているかも……。
彼女には強く生きて欲しい)

それもともかく、深見神社に限らず、深見への注目は、東深見高校を
原作はこれからどうして行きたいのか、そこにかかっていると言えるでしょう。
東深見高校を舞台にするゲーム(TH15.5?)や商業誌漫画を原作側が展開するのか、
まさか幺樂団や秘封に続く音楽シリーズを秘封2期として菫子と東深見高校でやるのか、
そういった部分で期待させますね!
でも、現実と作品世界の時間経過をリンクさせると、高校卒業までたった3年しかありません。
むしろ本命は5年後に菫子が大学生になったあたりで、東京オリンピックとコミケを匂わせつつ何かしてくるのかも。

そんなわけで、東方深秘録を記念した、深見神社の参拝記、色々な雑念まとめは以上です。







さて、深秘録は紺珠伝と密接な関わりがあるのはプレイされた方ならご存知の通り。
といいますか、深秘録と紺珠伝は完全に前後編のような形ですね。
そこでせっかくですから深津神社を使って紺珠伝の予想を立ててみましょう。

この東方紺珠伝、深秘録の続編であるとともに、明らかに東方儚月抄の続編です。
というか、東方儚月抄でやろうとして出来なかったことが紺珠伝で、という雰囲気。
ここで、東方儚月抄で最大の未回収伏線を振り返ってみましょう。
儚月抄から
(一迅社 東方儚月抄 〜 Silent Sinner in Blue. 上巻より引用)

ここで注目したいのは「影が段々と質量を持つ」という部分。
これが東方紺珠伝に繋がるなら、ラスボスは「質量を持った影」的な何か。要するに「闇属性」キャラの可能性があるわけですな。
東方紺珠伝の鈴仙ストーリーでは、月の都が一人の狂人によってルナティックになっていると明かされるわけですが、
「闇属性」的な神様、そう、深津神社の祭神、闇龗がラスボス、なんて予想もできそうです。
そして、伊弉諾が軻遇突智を斬り殺して生まれたのが闇龗なのですから、
出産時に妻が死んだ腹いせで、生まれたばかりの息子を斬殺した伊弉諾が「狂人」というのはいかがでしょうか。

東方関係のネタで連想を繰り広げますと、もともと伊弉諾、軻遇突智、九頭龍は
どれも原作に登場してもおかしくない神格のみなさんなのです。
まず伊弉諾といえば伊弉諾物質。この神様、我らが日本の国土創生神です。
しかし、前述のとおり、息子の軻遇突智を殺害しております。
なんで伊弉諾が軻遇突智を斬り殺したかというと、妻の伊弉冉(イザナミ)が軻遇突智の出産時に
女陰を焼かれて死んでしまい、生まれたばかりの息子に八つ当たりしたからなんですね。
その後、有名な伊弉諾が伊弉冉へ会いに行く話へ繋がります。
そして黄泉から帰った伊弉諾が穢れを祓った時に住吉三神や天照、月読、素戔嗚の三神が産まれています。
伊弉諾の息子斬殺神話は、伊弉諾物質を出した某神主も知っているはずでしょう。
(息子を持ったばかりの原作者は、息子を斬り殺した伊弉諾のことをどう思っているのだろうか、気になるところ)

一方、軻遇突智(カグツチ)といえば儚月抄で依姫が愛宕様の火として呼びだしていました。
カグツチと東方で連想するものといえば、東方頻出元ネタの女神転生シリーズにおける定番最強剣、ヒノカグツチでしょう。
フランドールのレーヴァテインが、ヒノカグツチという案もあったのは有名ですね。
(「炎の剣ならヒノカグツチが良かったのですが、キャラにあわないので」、とレーヴァテインになったそうです)

さらに、闇龗(クラオカミ)と同一視される九頭龍といえば、真・女神転生IIで地上を破壊する九頭龍がいます。
地上を破壊する龍といえば、原作者が大ファンの明石散人の小説、鳥玄坊シリーズで
地球を破壊するウルトラモササウルス、なんてのもいましたね。
明石散人は東方元ネタの頻出作家なので、ウルトラモササウルスや、ウガヤフキアエズの化身の五爪朱龍、
ここら辺が紺珠伝で元ネタにされる可能性も高いです。
なんたって、月の都が龍宮という話は求聞口授でも出ましたし。

肝腎の闇龗ですが、闇龗神とよく似た、あるいは同一かもしれない神、高龗神(タカオカミのかみ)に注目すると、
かの京都の貴船神社が浮かび上がってきます。
貴船神社には(綿月依姫の元ネタである)玉依姫が黄色い船に乗って現れたのが創建の始まりとも言われ、
東方、特に儚月抄関係でいつネタにされてもおかしくない神社です。
闇龗→高龗→龍神と綿月依姫と繋がればネタには困りません。
さらに、長野県の戸隠神社や箱根の九頭龍神社など色々な場所に祀られているようですよ。

ただ、伊弉諾は男性確定なので東方に出しにくいのがちょっと難しいところ。
一応、依姫は神を降ろせるので、依姫with伊弉諾でボス化という手はあります。
4ボス嫦娥、5中ボス綿月豊姫、5ボス綿月依姫with伊弉諾、6ボス闇龗with軻遇突智(少女)あたりでどうでしょうか。
嫦娥はヒキガエル属性があるので、「夢」を名に持つ妖夢を置いて、早苗が自機になった理由にもなります。
Xボスは妖怪の山の石長姫で良いでしょう。わざわざ2面を山の湖に置いたんですし。
清蘭が援軍が来ないと嘆いたのは、石長姫にやられた、ということにすれば収まります。
(月に浄化されて地球に逃げてきた火星人、なんてのも大穴でありそうなんですが……)

そして今回の作品のキーワードはずばり「浄化」です。
黄泉から逃げかえって穢れを祓いまくって神々を大量に生み出した伊弉諾が軻遇突智の復活を恐れて浄化に狂い、
その伊弉諾の殺人の血によって生み出された闇龗が軻遇突智の怨念とともに大復活。
こんな感じで、この二柱は、今作のボス候補にちょうど良いのではないでしょうか。

とまあ、深見神社へ行ったことにかこつけて、超適当に紺珠伝の予想をしてみました。


さて色々と強引かつ適当に話を進め過ぎてしまいました。
まー、日本神話で狂人といえば、馬の皮をはいで投げ込んだり、神殿で脱糞した素戔嗚(スサノオ)でしょうし、
闇といえば上記の素戔嗚の狼藉のせいで引き起こされた、天の岩戸への天照(アマテラス)の引き籠り、
と相場が決まっています。
おまけに、月の王が月夜見(ツクヨミ)、そして月夜見の姉が太陽に住んでいることが東方儚月抄小説版で明らかで、
そうなれば弟の素戔嗚(スサノオ)もいるでしょうから、日蝕をモチーフに、三兄弟の骨肉の争いというのが本命っぽく見えますが。
(体験版の内部データが云々という話は、控えておきます)
ここで、男性神である月夜見をボスキャラで出せるのか、という最大の問題が発生しますが……。
この月夜見、現在は男性神、ということになってますが、実は女性神なのでは、という考えもあるようなのです。
語尾にミが付きますから。イザナギ・イザナミで男女のように、~ミという神名が女性神を指すと考えるのは普通ですし、
東方的にはこれを使えるのは美味しいかもしれない。
そして、やっぱり依姫の神降ろし設定が活用できます。依っちゃんの持っている祇園様の剣の「祇園様」とは何を隠そう素戔嗚のこと。
となれば、4面中ボスレイセン、4面綿月豊姫、5面綿月依姫with祇園様(素戔嗚)、6面ボス月夜見(少女) Xボス嫦娥
という感じで、素戔嗚に乗っ取られた依っちゃんが大暴れしているのを、まわりの皆が止めようとしている、
という儚月抄ファン理想の紺珠伝が出来上がります。
4面を東方初の海上ステージにしておけば、ワニに大変身した豊姫を海で泳がせてジョーズごっこも可。
ただ新キャラがまったく居ないのが寂しいので予想としては物足りなくはあります。
それに、素戔嗚には地球を浄化する動機があるキャラにはならなさそう。

狂人と呼べる神で大物といえば、神話自体はややマイナーな
月夜見が保食神(ウケモチのかみ)を殺害した話もあります。
なぜマイナーかというと、別バージョンで素戔嗚が大気都比売神を殺害した方が有名だからです。
美味しい食べ物を用意していた女神を、もてなされた方が汚らわしいと決めつけて一方的に斬殺するという、
どうしようもなく酷い神話です。
最近、「おもてなし」が日本人の中でやたら強調されているようですから、
もてなした主人を客が虐殺!  という神国日本の元祖おもてなし神話を、
皮肉屋の原作者がここぞとばかりにネタにしてくる可能性があります。
うーん。書きながら、これが本命じゃないかと思えてきました。
穢れを嫌う月の都の王、狂人、実は女性説……
月夜見のウケモチ斬殺設定はいけるかもしれませんね。
(闇龗も素戔嗚もいらないことに……)

とまあ、なんでも考えられるのですが、嫦娥三号も月へ行きましたし、ラスボスを嫦娥に据えるのも予想の一つの手です。
また、蝕が起こるポイントを架空の惑星で考えた羅睺や計都、
地面の下を動く架空の惑星で非想天則でも名前が出た、太歳あたりも大穴で行けるかもしれませんね。


さて。
ここまで長々と述べましたが、大前提として月の都を敵に回す以上、
日本や中国の神話のどんな人物でもボスになる可能性はあります(ただし少女化必須)。
一方で、それは主人公側が勝てるような相手なのか? という問題は付き纏います。
今まで、月の都が相当強大だと描いてきたので、そこでの整合性は危惧されるところです。
夢の話という設定を使って戦力差を埋めるか、あるいはストーリーとゲームシステムを
何らかの形で世界観に落とし込んでおかないと色々と問題になるかもしれません。
これは、なぜ相手がスペルカードルールで戦うのか、という疑問とも関係してきます。
一つ考えられるのは、今回の騒ぎ、地上の浄化も、月面戦争も、虐殺や革命といったことまでも、
今回の月の首謀者にとっては全て「遊び」だ、という世界観です。
これなら、なんとかなるかもしれません。

というわけで、深見神社参拝記から脱線して、紺珠伝の予想までやってみました。
もちろん、やっつけの即席予想ですので、あまり参考になさらずに。

2015/05/08

ゴールデンウィークが続いている錯覚で
時間軸ごと幻想へ飛び込みそうになる今日この頃、
いかがお過ごしですか。

来たる2015年5月10日 東京ビッグサイトで開催される
第十二回博麗神社例大祭にサークル参加いたします。
スペースはか-17a「Abysmalhypogeum」です。

表紙ブログ用3

新刊
『アリス・マーガトロイド著 月々抄 ~ Impeccable Night.第六巻(最終巻) 
霝月(あめふるつき)は、もしかして龗儚(かみのはかなさ)、
なにをしても孁幻(おんなのまぼろし)、いつまでも靈夢(たまのゆめ)』
を1部500円で頒布します。
新書版134ページ、香りのついた符つき(今回は精油ではなく、有毒植物の香りを模した合成香料になります)
カバーのアリスは亜奇数氏に描いていただきました。
内容は、魂魄妖夢、蓬莱山輝夜、レイセン、レミリア・スカーレット、稗田阿求、
メディスン・メランコリー、十六夜咲夜の7人が語り手となる短編と
著者アリス・マーガトロイドの後書きからなる、連作短編小説集です。
儚月抄中心主義によって書かれた月々抄の全33章の最後の8章が入っており、
これにて月々抄は完結となります。

要するに、毎度おなじみの、
あんまりにもあんまり過ぎるほどあんまりな、
『訳判らない人達がいつも通り適当に行動する、いかにも東方らしい』作品になっております。

最終巻をいきなり買う、Lunaticな挑戦者も歓迎ですが、
流石に撃ち返しがきついかもしれません。
それでもいい、もしくは鍋敷きに使いたい、という方は、どうかよろしくお願いします。

2014/08/17

コミックマーケットに参加した皆様お疲れ様でした。

弊サークル「Abysmalhypogeum」にて頒布した、
『アリス・マーガトロイド著 月々抄 ~ Impeccable Night. 泗(なみだ)巻
美しきは空華 + アイスキャンデーの月矢風』
において、11ページのページ欠落がありました。
第十九章(パチュリー・ノーレッジの章)「自然現象マイナス二 ~ Heg Gnnehmi.」
262ページ以降です。

欠落部分はこちらになります。(→こちら

また、欠落部分の7ページの空白ページに挟み込む予定だった珈琲精油符は、
260ページと261ページの間に挟み込みました。
珈琲の精油が文面に滲む場合がありますが、ご容赦ください。

なお、これは文責の私のミスであり、印刷会社の問題ではありません。
読者の皆様にご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ありませんでした。

追記:
月々抄のサイトに、第三章(フランドール・スカーレットの章)の第七星、同第三章の第八星、
第十三章(スターサファイアの章)、第二十三章(洩矢諏訪子の章)とともに、
第十九章(パチュリー・ノーレッジの章)をアップしました。
よろしければ、こちらをご覧ください。

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