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2010年07月の記事一覧

2010/07/22

今月末、いよいよ
一迅社WEB キャラ☆メル Febri
で東方茨歌仙 ~ Wild and Horned Hermit.の連載が始まる。

とはいっても界隈の反応はさほど賑やかでもなく、
ごく一部に一迅社の新連載ということで、
緊迫したムードで固唾を飲んで見守る集団がいるばかり。
(私もそう)

界隈の反応はもっぱら謎の新人漫画家「あずまあや」が誰なのか、という話題、
そしてストーリー予想や新キャラ予想に終止した感がある。
界隈に期待感が充溢している様子でもないのが残念だが、
あまり過度に期待されすぎるのもよくないのかもしれない。



さて、せっかく新連載が始まるので、予想を書いておく。

まだ情報が茨牡丹(仮)だったころ、
私がtwitterの方に書いた予想は、大まかに分けると
・丹だったので、丹=仙人の煉丹ネタか
 さらに上海万博に合わせて、上海アリスがついに上海的なネタを出すか
・茨なら茨木童子(この予想は界隈のあちこちであった。伊吹萃香ら四天王ともつながる)
・茨の冠、キリスト関係もありうる。
・茨の園が似合う古明地こいし
・牡の字は、「星と夏と土」だから、土の字が入った漢字を入れようとしたのか。
 ただ、「オス」の意味がある「牡」の字を入れるのは、花の名前とはいえ東方らしくないか。
・Hermitとくれば、JOJOのジョセフ・ジョースターのスタンド。茨もしっくり来る。
・牡丹鍋(イノシシ鍋)EDが来るか。白猪といえば伊吹山の神。
こんな感じだった。
そして茨歌仙にネーミングが変わった後はこうした予想を追加。
・仙とあればやはり仙人か。
・歌垣ネタに合わせて常陸国風土記の富士の神と筑波の神ネタをやるか。
 富士の神がコノハナサクヤビメなら、妖怪の山を筑波に見立てて
 イワナガヒメを絡めて歌垣を行うのはありうる。
・詩仙といえば、李白。大酒豪だった李白を元ネタにしたキャラが出るか。
 酒豪キャラは東方とよくなじむだろう。
・大陸の仙人は山のようにいて予想不可能だが、日本の仙人なら、
 吉備真備
 (陰陽道の祖とされる人物
  遣唐使の帰りは九尾の狐と同船していた、
  筑波山麓で「金烏玉兎集」を阿倍仲麻呂の子孫に伝授しようとした、など伝説あり)
 役小角
 (役行者とも呼ばれ、修験道の開祖とされる人物
  藍のスペカなど、既に東方では元ネタにされている。
  小角という名前が、Hornedに合致?)
 久米仙人
 (今昔物語などに名の見える仙人。
  奈良県の久米寺の開祖ともいう)
 ビッグネームはこんなところ。
 もう一人、東方と関わりそうなのが、徐福である。
 これは言うまでもなく秦の始皇帝の命令で神仙の住む島を探しに東方に向かった人。
 ここら辺は元ネタになってなんらおかしくはない。
・求聞史紀の仙人の項目から、
 仙人は妖怪が好んで食うとこのこと。
 この記述は、西遊記における玄奘三蔵の扱いとよく似ている。
 ZUN氏は妖々夢のBGMで西遊記をイメージした曲を書いていることから、
 もしかすると西遊記的な色彩の濃い道教の薀蓄が来るかも。
 書籍の表紙にも西遊記をパロった絵が来たことあったし。

こんな大まかな(多すぎる)予想を立てたのであった。
個人的には、旧キャラ☆メルで連載した小説版儚月抄の妹紅回とリンクさせ、
吉備真備+イワナガヒメ+筑波山の歌垣、あたりが来ると面白いと思っている。

なお、某所のバレスレの話では、新キャラの名前や特徴が出ているのだが、
予想通り仙人ネタのようだ。しかも行者で茨木だとか。
これは役小角+茨木童子あたりなのか。今のところ、歌要素がどう絡むかは見えてこない。
Febriの発売を待つ。


……さて、前回のエントリでtwitterを止めたと書いたが、
昨日つぶやいてしまった。10日程度しか持たず。
twitter恐ろしや。
でも、もう一度twitter断ちを目指してみる。
月々抄も早く書き上げねばならんし。
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2010/07/23

儚月抄完

てゐ「ようやく『東方儚月抄 ~ 月のイナバと地上の因幡』の下巻が発売されたね。
   長きに渡る美しき幻想の戦いに終止符が……」
うどんげ「ちょっとあんた、どこ乗ってるのよ!」

儚月抄完 (1)

てゐ「外の世界では色々騒がれたらしいけど、終わってみれば良かったんじゃないの? フカヒレ美味しいし」
うどんげ「姫の顔の上に乗るんじゃなーい! それに後ろの写真はどう見てもフカヒレと一緒に食べられるところだし!」

儚月抄完 (2)

てゐ「ほら、儚月抄は踏み絵だって言うし……」
ズガーン! (稲妻が走るエフェクト)
うどんげ「また寝た子を起こすような危ないセリフを…… 
     この単行本で初めて儚月抄を知る人だっているんだから」
てゐ「いるのかな」
うどんげ「う、言われると自信ない……」

儚月抄完 (5)

てゐ「それにほら、最後の最後で美味しいところを持っていくのは私と鈴仙だよ?
   あの人とかあの人とか足元の人とか、みんなボロボロにされてく中で
   私達は大勝利」
うどんげ「そ、そう言われると、私とてゐが勝利者のような気がしてきた」
てゐ「そうそう。だからバーンと踏みつけちゃえ」
うどんげ「いやいや、だからそこどきなさいよ!」
てゐ「あと、ブログのこの写真のピントがあってないよ」
うどんげ「私の能力でそう見えるだけ」
てゐ「……」
うどんげ「とにかく姫の顔の上から移動しなさい」
てゐ「仕方ない。移動するよ? せーの」

儚月抄完 (7)

てゐ「よっと」
うどんげ「えええええええ」
てゐ「最後に笑うのは一人」
うどんげ「ってか待て! 色々とおかしいって!」
てゐ「これで儚月抄の真の勝者がはっきりと……」
ピシピシ (上方から不吉な音)

儚月抄完 (8)

てゐ「ん?」
ドシャーン

儚月抄完 (9)2

てゐ「うわっと 危ない危ない。
   でも自分が作った落とし穴に自分で落ちるなんてことは……」
ピシピシピシ

儚月抄完 (10)

てゐ「……何度もあった気がした」





うどんげ「ねえ、てゐ」
てゐ「なに? 鈴仙」
うどんげ「結局、儚月抄の勝者は誰だったのよ」
てゐ「んーと、そうだねえ」

儚月抄完 (11)

てゐ「……」
うどんげ「……」
てゐ「………………」
うどんげ「………………」
てゐ「まだだ! 儚月抄はまだ終わらんよ!
うどんげ「それがオチかい!

2010/07/25

7月21日 東方儚月抄 月のイナバと地上の因幡 下巻発売。
7月22日~23日 TH12.8 妖精大戦争 ~ 東方三月精が発表され界隈が騒然(?)となる。
7月24日 一迅社 キャラ☆メルFebri創刊 東方茨歌仙連載開始。

とまあ、毎日東方の話題に事欠かない日々。
この3作品について今のところの感想を残す。

・月のイナバと地上の因幡
東方儚月抄の最後の一巻が発売されたのに、あとがきにもネットでも神主コメントなし。
ちょっと寂しい気もするが、東方茨歌仙にも公式コメントない。う~む。
儚月抄の時は「割と重いところも出てしまいそうです」と含みを持たせたコメントが仇になった。
コメントなしは、防御するには風流で良い作戦かも知れない。

限定版について来たフィギュアで遊んでしまったが、
てゐ+妖怪兎のフィギュアで注目するべきはてゐよりも兎の方かもしれない。
私の読後感では、四コマ儚月抄で一番特徴的だったのは、この兎達である。
東方の原作において、永遠亭に住む兎ほど描き手によって描写が異なる存在も珍しいのではないか。

東方永夜抄に出てくるドット絵の妖怪兎はなんと羽つきである。
なぜかというと、妖精のドット絵に兎の耳をつけただけだから。
三月精に出てくる兎は異様にリアルだったと思えば(てゐが魔理沙から毒の葉を食べる回)、
直前の回ではくだけた描写になっていたりと定まっていなかった。
秋★枝儚月抄では全員てゐに近い姿をしていた。
そして、この四コマでは、いわばスーパーデフォルメ(SD)と呼べるようなキャラになっている。
セリフもフキダシなしでわーわー言う賑やかなもの。
どうして「人の形」を取らないこのデザインになったのか良くわからないが、
見る人によって姿が変わるのが妖怪なら、こうしたデフォルメもありなのだろう。
(秋★枝儚月抄の妖怪兎の場合、ドリブルしたり帽子の中に入れるのは難しいだろう)
星蓮船の鵺のような存在が東方の正統な妖怪観だとすれば、
永遠亭の妖怪兎のデザインが作品によって異なるのはむしろ東方らしいのかもしれない。

四コマ下巻の特徴は、新しく書き下ろされた内容もさることながら
綿月姉妹とレイセンが頻繁に登場することが上げられよう。
もちろん「永琳の使者殺し」といった重いテーマは微塵も感じさせないムードで、
四コマが原作と呼ぶより二次創作と呼んだ方が適当、と見なされるのもわかる。

しかし、解釈によっては秋★枝儚月抄の後日談としてうまくはめ込むことができそうだ。
注目すべきは、「四コマにおいても輝夜と綿月姉妹の間に一切会話が存在していない」こと。
会話が成立しそうなシーンでも、なぜか綿月姉妹と輝夜が直接言葉を交わすことが回避されている。
これは輝夜と綿月姉妹を絡ませづらいということよりも、原案の指示という気がする。

一方でてゐと豊姫の絡みが非常に多い。
ここら辺は日本の神話における鮫モチーフ(いわゆる因幡の素兎)に基く、
なにかしらの因縁を感じさせる絡ませ方。
さらに、月都万象展で月の最新情報を仕入れるために綿月姉妹を呼んだのは、なんとてゐである。
これが「よく考えもしないご都合主義的な展開」なら解釈する価値はないのだが、
そうでないとするなら、てゐと月の都の間には何らかの強力な交信手段があったということになる。
(私が二次創作をしている月々抄の構想でも、てゐは元玉兎で固まっているが、
四コマの描写はその二次創作よりの解釈を裏切っていない。
ま、そこら辺はSSの中で開陳したいのでここには書かない)
「なぜ豊姫が穢れているはずの地上の妖怪兎を月に持って帰ろうとしていたのか」という点も、
真面目に考察するとなかなか面白い。
もちろん、「そもそもなぜ綿月姉妹は永遠亭と自由に行き来することが可能になったのか」という点も
考察に値する。

さて、四コマのオチについて。
四コマ儚月抄は秋★枝儚月抄や小説と比べると批判は少ない、
(でもって熱狂的なファンも少ない)ようだが、
月都万象展の内実をすっ飛ばしたことには少なからず批判があるようだ。
私もこの点には不満がある。
が、四コマの限界なのかもしれない。
例えば、紅魔館のロケットパーティーは秋★枝儚月抄がメインで、それを受けて四コマが描かれた。
月都万象展も秋★枝儚月抄でメインの描写をしっかりやっておけば良かったのだが、
それがないので読者は風流な想像力を掻き立てることしかできない。
描写で紫や幽々子が登場していない(橙や妖夢は登場している)ことから、
原案ベースでなんらかの骨子があったと推測するのだが、今となっては真相は闇である。
三誌同時連載のヒビがここにも影響した、というのが私の素直な感想。

あそうそう最後に、単行本で気づいたが四コマ版だとレイセンの胸がない。ゼロ。
見事にゼロ。これは意外だった。

・妖精大戦争 ~ 東方三月精

角川から出ている三月精でおまけ扱いだった「妖精大戦争」が、ついにゲームに。
作者のブログ告知はこちら
私が抱いていた予想は、上海アリス幻樂団は夏コミで秘封倶楽部か幺樂団か、だった。
三月精というのは割と盲点だったので、色々と期待したい。
(昨年夏コミの上海アリス列は最悪だったが今年はどうなるだろうか。
 正規ナンバーではないのでダブルスポイラーの列程度に収まってくれると助かるのだが)

いくつか気になる点。
まずゲーム中の立ち絵があった場合比良坂真琴氏が書くのかどうかということ。
ZUN絵の三月精を見てみたかったんだが比良坂絵になるのはやむをえないか。
三月精のドット絵を見る限り、比良坂絵になるっぽい。
(追記:立ち絵は全て比良坂氏が描くようです。比良坂氏のブログ日記より)


次にブログのスナップショットを見るとリリーホワイトらしきドット絵があること。
リリーホワイトにもついにスペルカードが出るのだろうか。
(なお、花映塚の黒服リリーホワイトは映姫ステージ用に着替えたもの、と解釈している。
 秋★枝儚月抄で別々に登場してしまっているが、基本的には同一人物と見ている)
大妖精も三月精本編で出てきたし、なんかしら扱われるのだろうか。
三月精に登場したキャラやゾンビごっこを妖精にさせるお燐など、色々登場するのかどうかも気になるところ。

最後に、チルノのパーフェクトフリーズを主体にしたゲームということ。
確かに紅魔郷のPFは東方の知名度を高めるのに絶大な効果があったし、
花映塚では弾を止めるその技がほとんど反則技に近い性能を誇っていたから、
このようなゲームが作られるのもまあわかる。
わかるのだが、正直「また紅魔郷キャラかよ」と思う気持ちもある。
だったら秋姉妹が主役のゲームの方が
東方Project人気が、今でも紅魔郷キャラに偏重しているのは、個人的には問題だと思っている。
キャラクター面では非想天則でルーミアとフランドールを除いて紅魔郷キャラは全登場、
音楽面ではタイトーの音楽部門ZUNTATAが「U.N.オーエンは彼女なのか」を商業用にアレンジした。
2010年でも東方といえば紅魔郷イメージがあまりに強い。
逆に言うと界隈の人気と言う点では東方紅魔郷を超える作品は生まれていないということで、
今後ちょっと心配なのである。
(もちろん妖精大戦争で地霊殿や星蓮船のキャラがわんさか出てくる可能性もある)

チルノが主役なら角川も文句は言わないだろう。
ひょっとするとこの話は角川側から持ちかけた話かもしれないが。
多分酒コラムを書くついでに居酒屋で出た話なのだろう。
(追記:ZUN氏のブログや比良坂氏のブログなどによれば、
 ゲーム製作の話は2年前にZUN氏と比良坂氏の間であったそうで、
 角川は絡んでいない様子)

・キャラ★メルFebri

茨歌仙の前に、キャラ★メルFebriの感想。

手にとっての第一印象は、「え? これで1000円取るの?」だった。
中身としても「特集を組んで集中的に取り上げる」というスタンスではなく、
「なんとなく今人気の作家・作品を並べる」と言う雰囲気で散漫な印象。
旧キャラ★メルと同じ。ただし旧雑誌よりも一回りサイズが小さくなった。

気になったところ。
雑誌のほぼ全ページにページ番号を振るのは良いと思うが、
前半のカラーページと後半のカラー(訂正)モノクロページで、ページ番号の位置が違う。
大丈夫なんだろうかと、ちょっと心配。

なもり氏の新連載「りせっと!」で、唐突にコミック百合姫などの宣伝が出てくるのだが、
雑誌の中でもこの部分だけで、かなり浮いている。
体裁の統一が欠けているようで、ちょっと心配。

雑誌をめくってすぐ小此木哲朗編集長代理の宣言がある。(編集長じゃなかったのかよ)
なんでもキャラ★メルFebriは
「熱意の塊のような方々を中核に据え
 人の顔が見える情報をお伝えしていく」ことを基本方針にするらしい。
うーむ、この基本方針からして危うさしか感じられないのだが。
熱意の塊のような方々、と言うがこの雑誌で取り上げられる作品・作家は、
すでに評価されているものばかりなのだ。
つまり、
「評価されているものの裏に潜む熱意をインタビューなどで聞き出して、商品に仕立てる」
という意味なのだろう。
要するに、私の読んだ限りでは、埋もれている良作、今後伸びそうな作家を発掘するというよりも、
既に評価されている作品や作家に依存して商売する、という姿勢が窺えるのである。
ちょっとどころではなくかなり心配。

おそらく小此木編集長代理は、一定の東方ファンなら購入して支えると踏んでいるのだろう。
あるいは藤島康介ファンが。
それは正しい。そうしたつながりは小此木氏の力の源泉なのだろう。
だが小此木編集長代理は新人漫画家「あずまあや」を一流に育てられるのだろうか。
この手腕に関して私は一迅全体の空気を疑問視している。

なお、小此木編集長代理は次回予告の中で
自身のブログやtwitterをチェックしてみてください、と書いた。
どうやらあの方のtwitterはチェックされてしかるべきもののようだ
一迅社の社員のtwitterはフリーダムすぎて時々眩暈がしてくるのだが、
それはまあいい。
しかし、一迅の代表取締役である杉野庸介氏と、小此木編集代理の
微妙な人間関係がtwitter上で見えてしまうのはどうなのだろうか。
先日も杉野氏が小此木氏に「呉越同舟」と皮肉にしか読めない言葉を投げ、
小此木氏は「呉越同舟って基本的に敵同士ですからね!」と素で(?)返した。
私なんぞはうーんと唸ってしまう。
そして、ZUN氏が妖精大戦争を発表したとき、小此木氏は
「なるほどそう来ましたか。最後の詰め頑張って下さい・・・!」
と返した。おいおい、なるほどそう来ましたか、じゃないだろと思ったが、
以前「では、そろそろ書籍でも文花帖2の企画をですね・・・(※冗談2割)」
と発言した人だから天然なんだろう。
とにかく雑誌の次回予告でtwitterのチェックをと書いたのはリスクが高すぎるとしか思えない。
(でも彼のtwitterをチェックしたら、タクティクスオウガがリメイクされるらしいという話を知った。
 意外なところで面白い情報が入るものだ。
 リメイクとなると、ヴォラックがライアットバーンを使う姿がついに見られるのだろうか)

それと雑誌の裏に「東方雅華乱舞」というトレーディングフィギュアの広告が。
秋★枝デザインの霊夢・魔理沙、あらたとしひらデザインの鈴仙・てゐ、TOKIAMEデザインの輝夜、
がスリーブで登場するらしい。ってスリーブかよ!
綿月姉妹を一迅はなぜ売り込まないのだろう。謎だ。


・東方茨歌仙 第一話「片腕有角の仙人」

やはりというべきか、あずまあや氏の正体は、azmaya氏のようだ。
そもそも小此木編集長代理がtwitterでフォローしたからバレたようだけどね。
ご本人のサイトazmayaでも告知された。
azmayaとあずまあやを分けたのは深い意味はない、とのこと。

第一話は、博麗神社に奉納された河童の腕を新キャラの茨華仙(茨木華扇)が見に来て、
霊夢や魔理沙と顔見知りになる、というだけの実に他愛もない話である。

絵柄は、なんというか、ちんまりしたキャラクターで、可愛いらしさは充分にある。

新キャラの茨華仙(茨木華扇)だが、どうして二つ名前があるのか明らかではない。
タイトルにあった「有角」に関しても、描写に角らしきものは見当たらなかった。
霊夢が「人間と闘う気もないし」と言っているおり、鬼という感じもしない。
この話ではよくわからない。
片腕の名の通り右腕がなく、布のようなものを(霊力で?)腕の形にして操っているようだ。
イメージとしては、藤田和日郎の漫画「うしおととら」の過去編でシャガクシャが獣の槍を入手するシーンだろうか。
(そういえば、緋想天の永江衣玖の布ドリルも、
 藤田和日郎の漫画「からくりサーカス」に出てきた馬麗娜(マァリイナ)を想起した。偶然だろうか)

片腕のキャラというと、シグルイの藤木源之助や、ベルセルクのガッツなど、
バトル漫画の男性キャラに散見するが、女性キャラとなるとあまり記憶にない。
ただ茨華仙は布を義手のように扱えるようなので、特に描写の問題はなさそうだ。
ちなみに、JOJOの奇妙な冒険第3部でハーミットパープルを操るジョセフジョースターも義手だった。
ジョセフのイメージはキャラ造形になんらかの影響を与えているのだろう。
(髪型は春麗(チュンリー)っぽいけど)

もう一つ、今までの東方作品であまり語られてこなかった人里の入り口がイラストで明らかにされた。
まるで弥生時代の高層建築を思わせる、巨大な城門が備えられている。
しかも瓦葺ではなく茅葺のようだ。
人里の周りに田畑があるのは今までに明らかにされていたが、
もしかすると人里の周りだけでなく、低い山に火入れをして採草地を維持しているのかもしれない。

全体としての感想としては、第1話ではまだわからない、としかいえない。
雰囲気を読む限り大異変には発展しなさそう。
ただ「歌」要素や「角」要素が出て来ていないので作品としても様子見である。
それよりFebriそのものの方が心配。

ひとまず雑感としてこんなところ。

2010/07/28

ここ数日、古い漫画や本ばかり読んでいる。

以前twitterの方で話題になった東方の元ネタになった書籍のうち
自分が持ってなかった本を色々と購入したのだが、
読む暇がなくて山積みになっていた。
どうせ夏コミが終わったらゲームばかりやることになるので、
その前に読めるものは読んでおこうというわけ。

・書籍
書籍の方は、先日NHKの番組「MAGネット」で東方Project特集が組まれた際、
ZUN氏の本棚が映ったので、その棚にあった書籍を中心に読んでいる。
ざっと読んだところでは、
楽しい昆虫料理
がなかなか楽しい。
私も諏訪に旅行した時に昼飯を蚕の佃煮で済ませたほど昆虫食に対して拒否感はないので、
こういう本を読んでいると食べたくなってくる。
(海老や蟹も昆虫も同じ節足動物だしね)

もう一冊
東京の階段
という写真集も興味深いものだった。
江戸は山を切り崩し川を付け替えて作りあげた都市であり、昔から坂だらけ橋だらけの都市だった。
そこで階段をテーマにした写真集が出るのはわかるのだが、この写真集、本当に「階段」しか写っていない。
「階段から見た風景」ではなく「階段のある風景」の写真集といえば良いだろうか。
階段マニアのためだけにあるような本だが、知っている階段が多く一般人(?)にも楽しめる。

……とまあ、30冊足らずもあるので、ZUN氏の本棚にあった書籍の感想はいずれまた(なんだかな)
今のところ、萩原雅紀氏の写真集「ダム」、珍寺大道場、食材辞典、異都発掘、雪月花の数学の5冊は未入手。
全体としてかなりライトなものばかりという印象。
特に妖怪や神話を扱った本にディープなものがない。
ただこれについてはZUN氏の発言などを聞いているとディープなものは必要ない、というスタンスかもしれない。

・漫画
竹本泉のいわゆる東方元ネタ系の作品や近藤るるるの『天からトルテ!』、荒俣宏×藤原カムイ『帝都物語』
加倉井ミサイルの『鴻鵠館1301』、大塚英志×ひらりん『三つ目の夢二』(これはZUN氏の本棚にあったもの)
などを読む。

昔から持っていたものもあり、新しく購入したものもあるのだが、
amazonで古本を探すと竹本泉の作品はほとんどある。
便利な世の中だ。

竹本泉
竹本作品では
ルプ★さらだ(山歩きの元ネタ)
はたらきもの(ふわふわエレンが登場)
さよりなパラレル(小さくても必殺の武器)
アップルパラダイス(朝ヶ丘絵理子が登場)などを読む。
読んでまず思ったこと。
今の竹本泉が描く女の子よりも1990年代の頃に描かれた女の子の方が可愛い。
(不思議とこれは近藤るるるにも当てはまってしまうが、)
今の竹本泉の絵柄は丸みを帯びたデザインで、私はあまりのめり込めないのだが、
上記の作品に描かれる女の子はスラリとした顔立ちをしており清楚な魅力がある。
単純に私が古い絵柄の方が好みということもあるのかもしれないが……

読んだ作品はどれも面白く、現在でも充分通用する作品だと思う。
東方の元ネタということを除けば、
『ルプ★さらだ』が一番面白く読むことが出来た。
第6話の「先頭の自動車」というネタなどはいかにも子供が思いつきそうな発想で秀逸。

『アップルパラダイス』は登場人物が多いためドラマという点では他の作品より魅力がある。
学校の中を川が流れるという話など、かなり変だけど弱めの着想でもキャラクターでカバーしている。
東方の元ネタという点では、太陽の中に住むカラスを矢で射落とす話など、
2000年代の東方作品とも関係ありそうなネタがあるが、
有名すぎるネタなので竹本泉が元ネタなのかどうか判別しづらい。

『はたらきもの』に関しては、東方の元ネタとして考察屋の間で有名な「ふわふわパチパチ」よりも
「ロケット・ガール」の方が話として印象に残った。
この話では、いかにも「前時代的」という形容がふさわしい形のロケットが登場する。
手塚治虫の漫画に出てくるようなあれ。
あるいはエルジェが描いた世界的な冒険漫画タンタンの『月世界旅行』に登場するロケットといえばよいか。
ああいうロケットが登場すると、それだけで心が和む。
私は手塚世代でも、ましてやエルジェ世代でもないのだが摺りこみ(漫画的教養?)というのは恐ろしいものだ。

他にも竹本作品のうち東方の元ネタとして名が挙がるのは
『ちまりまわるつ』『魔法使いさんおしずかに!』『てきぱきワーキン?ラブ』など10作品ほど。
機会を見つけて読みたい。

加倉井ミサイルの『鴻鵠館1301』
この漫画に、紅美鈴のスペルカード「セラギネラ9」の元ネタになる麻薬が登場するというので購入。
近代の香港を舞台にした、風水アクションものといえば良いだろうか。
まあはっきり言って、よくありがちな漫画である。
が、ZUN氏が好きな上海の租界とも通じるオリエンタルな雰囲気の漫画。
第2話のタイトルがずばり「セラギネラ9」で、
9歳までの免疫がない少女の体を苗床に栽培する麻薬植物の名前がセラギネラ、
そしてその話の中で麻薬植物の苗床にされている少女の名前もセラギネラである。
あまりストーリー的に見るべきものはないが、
ヒロインの「イデア」という少女の髪型が、茨華仙に似ていることに気づいた。
先日ブログで、髪型はチュンリーを思わせると書いたが、
ひょっとするとデザインの着想はイデアかもしれない。

近藤るるるの『天からトルテ!』
割と有名な作品らしいが、読んだのは初めて。それも4巻まで。
全14巻もあるらしいので最初の部分しか知らないことになる。
まあZUN氏もこの漫画をちゃんと読まずにキャラクターのテーマ曲を作ってしまったらしいけど
ファミ通というとゲーム帝国とかドキばくの印象しかない……

うん。トルテは可愛い。
作品としての感想はそれに尽きる。
プディングやマカロンはそんなに惹かれないが、それはまあ人それぞれ。
ウニほかアスキー社員も、みさいル小野以外は印象が薄い。
セガとバンダイの合併のネタが出てきたのはちょっと泣けた。

意外に、東方の元ネタっぽい要素満載である。

 ・トルテの口癖「あやややや!」
 ・マカロンの口癖「あーうー」
 ・シューの肩に止まるニルギリ(カラス)
 ・なんでもしまえるトルテのスカートの中
 ・トルテが作る星型の薬
 ・巻末解説の「~程度の能力」という書き方

ここら辺はかなり元ネタの臭いがする。
もっとも、考察の掲示板などでは風神録の射命丸文のセリフ「あやややや」と洩矢諏訪子のセリフ「あーうー」は
竹本泉が元ネタという話もあり。
少なくとも大平首相の口癖を直接元ネタにするよりは、トルテとマカロンの方が近そうだ。
トルテが作る星型の薬は、魔理沙の魔法と良く似ている。
特に依姫に食べられて甘いと言われたスターダストレヴァリエのイメージ。

トルテの薬と言えば、上海アリス幻樂団のCD『蓬莱人形』にも載った、Witch of Love Potionがただちに思い浮かぶ。
まだWindows版東方を作る前にZUN氏が作曲したのがこの曲で、
元は『天からトルテ!』の二次創作としてぴえとろ氏が作ったフリーSTG『トルテルマジック』のために書かれた曲。
個人的な勘としては、Windows以降の霧雨魔理沙には、『天からトルテ!』が少なからず影響を与えているように見える。
なお、シューというキャラの肩に止まって現れるニルギリというカラスも射命丸文を想起させるが、
肩に止まるカラスという図は古代からあって、どれが元ネタとは言いづらい。
漫画でも、例えば冬目景の『イエスタデイをうたって』に登場する、野中晴が肩にカンスケというカラスを止まらせている。
なのでこれは参考程度に。


などと書いていたら出勤時間である。
例によって、話題にした書籍を読んだ人にしかわからない文章になってしまった。
東方の元ネタには少なからず関心があるので、いずれちゃんとまとめられたらなあと思っているのだがはてさて。


追記
茨歌仙、改めて読み直すと違った印象を受ける。
界隈では、十訓抄から引用された文句の「水」が「氷」の誤植ではないか、というのが話題である。
渡辺綱に腕を切られた鬼が京の羅城門に住んでおり、
都良香が羅城門を通ったときに「気霽風梳新柳髪」と句をつぶやくと、
その後を継いで、鬼が「氷消波洗旧苔鬚」と言った。
後日、都良香が菅原道真の前でその詩を披露すると、
「後の句は鬼が作ったのだろう」と道真が見破ったという話である。

都良香は日本の仙人として伝説化された人物であり、
仮に茨華仙が都良香+茨木童子だとすると、歌を交わした時に両者が同化した、
という展開もありそうだし、名前が二つあるのもわかる。
なかなか奇想天外な話になるかもしれない。

まあ、読み返して思ったのは、霊夢と魔理沙がガラスのコップにストローで何かを飲んでいるシーンで、
コップの中に氷のようなものがあるということ。
博麗神社で製氷できるという話があったか記憶にないのだが、どうなんだろう。

2010/07/29

現代社会のスキマを実感した話。

昨晩のこと。
家路に就いていた私は、とあるビルの8階でエレベーターを待っていた。
到着したエレベーターから人が出る気配がないので中に入ろうとすると、
降りることを失念していたのか両脇に荷物を抱えたまま慌てて出ようとする人に出くわした。
その人がドアのところに足をかけたとき、ドアが閉まり始めた。
私は携帯電話を持っていた手で、エレベーターのドアが閉じるのを防ごうと咄嗟に手を出した。



妙な体勢からドアに手を出したため、携帯が滑って手から落ちた。
落ちていった私の赤い携帯は、
エレベーターとフロアの間の境界の上を奇妙なほど生命的な動きでぽん、ぽんと跳ねると、
その小さな長方形を絶妙な角度で調整し狙いすましたかのように
エレベーターとフロアの間のわずかなスキマの中へすっと入り込んで消えた。
私微動だにせず。
荷物を抱えた人も微動だにせず。
夢のような一瞬の時間が過ぎ、私は携帯電話を失った。



……とまあ、こんな感じで本物(?)のスキマ妖怪に携帯を奪われてしまったのだった。
もちろんエレベーターの管理会社の方に来て頂いて携帯電話を回収することは出来たのだが、
8階からB1階までエレベーターシャフトの中を垂直落下した携帯は見事に壊れていた。
むしろ液晶画面が割れてなかったことに驚いたぐらい。縦の衝撃には強いのか。

でその晩のうちに携帯を買い替えることに。
それまで使っていた携帯はワンセグもない旧式携帯だったので、昨今の高機能携帯にびっくり。
「なんだって? 携帯電話にテレビが映るだって? また妖怪の仕業ね! (霊夢の口調で)」
なんというオールドタイプ的反応。
そしてカメラが800万画素以上あるというのが隔世の感。

一瞬流行りのiPhone4も頭に浮かんだが、iPhone4で特にやりたいこともない。
結局同じ電話会社の機種に。

というわけで昨晩はずっと携帯をいじっていたのだった。
買い替える度に携帯電話は技術の進歩を実感させる道具だと思う。
前回買い替える前は、
「携帯電話でWebブラウジング? あんな小さい画面で有り得ないでしょ」
だった。
今回はテレビとデジタルカメラか。
年甲斐もなくはしゃいでしまった21世紀初頭の一コマだった。


あそうそう、幻想郷で赤い携帯電話を見かけたら私の携帯の気質の発現かもしれませんよ。

2010/07/30

炎天下無限に続くかのような上海アリス列に並んで東方星蓮船を買い、はや一年。
スナップショットを集めてみようと思い立ち、ついでにエクストラを全キャラでクリアした。

(実を言うと、エクストラボス撃破後の会話は東方セリフ蒐集所を運営されているonnel氏が、
全てニコニコ動画にまとめて上げているのである。
なので会話を見る時はそれのお世話になればよいのであるが……)

星蓮船X全キャラクリア画像

これでWindows版東方ProjectのExtraは花映塚と地霊殿以外全キャラクリアしたわけで、
せっかくなので星蓮船Extraの感想と紅魔郷以降の東方作品の流れにでも言及しようかと思う。

星蓮船Extraについて

星蓮船Extraは魔理沙の天下、とかどこかの誰かが言ったそうだが、全然まったく一切そんなことはなかった。
確かに魔理沙Aの貫通レーザーは鵺のスペカ「青色UFO」と「虹色UFO」に対し若干有利だが、それだけ。
ここでも圧倒的に早苗Bが強く、魔理沙BなどはExtraでも使いにくい機体と言わざるを得ない。

Extraそのものについては、スペルカードのUFOシリーズがちょうど永夜抄の「使い魔システム」の復活に当たっており、
使い魔を撃破して楽になる、というシューティングの王道要素を取り入れた点が興味深い。
また、よく言われる星蓮船のベントラーのストレスも存分に味わうことができた。

私が感じた、星蓮船の残念なところは3点。
・ベントラーの回収パターンを組もうにも要素が多すぎて、なかなかパターン化しづらい
・UFO破壊タイミングがシビアで弾消しが快感にならず、むしろ不快
・Extraに限ると、鵺と戦う時にベントラーが一切に関わらず、あまり面白みがないという点。
これである。
一つ目のベントラーのパターン化だが、
 ・ベントラーが遊泳する角度が自キャラ操作可能な角度(8方向)と異なり、的確に追うのが難しい。
 ・ベントラーを取った数によって右に行くか左に行くかが変わり多数のベントラーが出現する状況では先読み不可。
 ・気まぐれベントラーの色が変わるタイミングが固定でない。
こうした理由から完璧なパターン化が難しいのである。
まあExtraは色固定ベントラーが多いので色固定ベントラーに絞ったパターンを作るしかないのだが。

二つ目は、このゲームの特徴であるUFO出現&破壊時に画面の弾を消せるというシステムの問題である。
これは妖々夢の森羅結界と比較すれば良くわかると思う。
森羅結界には、いつでも画面の弾を消せるという特性と結界終了後の無敵時間という利点があった。
Phantasmにおける結界終了後の無敵時間を利用した黒死蝶取得方法などは有名だろう。
これに対し星蓮船のUFO弾消しには無敵時間がなく、むしろ撃破直後は弾が残っていて被弾することすらある。
そもそもUFOにショットを当ててる時間は他の敵に弾を当てられず画面上の敵弾の数が増大しているのだから、
せっかくUFOを破壊したのに報われず被弾する事態が頻発し、ストレスが溜まりやすいのである。
むしろ森羅結界と同じようにUFO破壊後に数十フレームの無敵時間があっても良かったぐらいだと思うのだが。
このように星蓮船では、UFOを破壊した時に得られる快楽が余りない、というのが非常に惜しいところである。

三つ目はExtra限定なのだが、本編と同じようにボス戦でベントラーが絡まないため、
道中で余ったベントラーに意味がないだけでなく、
鵺がベントラー騒動の張本人という意味合いが薄れているように感じる点である。
Extraなら、スペルカードごとに残機の欠片やボムの欠片を落とすのではなく、
スペルカードごとにさまざまなベントラーを放出し、
ベントラーも色を合わせて出現したUFOも画面外に逃げずにずっと留まっているようなシステムにした方が良かったんではないか。
(通常攻撃時にUFOを撃破すれば弾消し、スペルカード時に撃破すれば弾消し無し、など差別化すれば……)
星蓮船Extraは道中が過去作品で一番難しく、また面白さもあるのだが、
ボスの鵺自体は全体的にそれほど尖っておらず、かなり無難な印象を受けるのである。
(もっとも、諏訪子のように通常攻撃が使い回しということはない)

他にも、鵺の通常1の弾が背景と相まって非常に見づらいとか、色々あるのだが、
最後のスペル、恨弓「源三位頼政の弓」はかなり純粋な弾幕、
つまり気合い避け熱くなれる弾幕なので、クリア後の爽快感はちゃんとあった。
(頼政の弓は一度も取れてないんだけどね。波紋よりは楽だと思うけど……)

とまあ色々書いたけど、普通に面白かった 道中のおかげで退屈しない内容ではあった。


(以下おまけ記事)


紅魔郷からの6ステージSTGの流れの中で星蓮船を捉えるということ

さて、東方Projectの二次創作が盛んになり、二次創作を中心とした東方界隈における神主が絶大な人気を誇る一方、
シューターからのゲームクリエイターとしてのZUNの評価はここのところ落ち目なんじゃないか、というのが偽らざる印象である。

界隈で良く聞くのは、東方風神録以降ゲームとしての完成度に陰りが見え始めているということ。
妖々夢や永夜抄は面白かったが、風神録、地霊殿、星蓮船は欠点が気になってゲームにのめり込めないという感想。
特に、
・風神録のグレイズ廃止
・地霊殿の霊撃でパワーが落ちるシステム
・星蓮船のベントラーが引き起こすストレス
は東方アンチだけでなく東方ファンの間でも良く聞かれること。
それに加え、明らかにバグがあるにも関わらず、(星蓮船の10億点強制終了バグを除き)
風神録以降はただの一度も修正パッチが作られなかったことも、
昨今の東方Projectの完成度を落としている原因として必ず話題に出る。

ここら辺の批判はなるほどと頷けるものもあり、バグ修正パッチに関してはその通りだと思う。
が、風神録以降のゲームについての私の感想はちょっと違う。
良い機会なので自分なりの考えをまとめておきたい。

まずWindows以降の弾幕STGは花映塚や文花帖を除くと3部作構成で、
紅魔郷・妖々夢・永夜抄の三部作と風神録・地霊殿・星蓮船の三部作では方向性がかなり異なるということ。
これが私の評価の中心である。

紅妖永三部作は、
PC-98版から引き継いだ6ステージ+Extraステージという枠組みへの挌闘があった。
妖々夢のPhantasmステージ、永夜抄の6BルートとLastwordというシステムは、後の東方には引き継がれずに消えた。

また、エクステンドやパワーがどの作品も同じようなタイミングで増えていくのも特徴だろう。
特に、3面中ボスと5面中ボスが1upを落とす仕様は不動だった。
加えて、後半のパワーアイテムは価値が薄かったり、他のアイテムに変わってしまっており、
基本的に一度パワーマックス(128)になってしまうとほとんどパワーが落ちないシステムであった。

また風地星三部作に比べるとキャラクターや装備ごとの差があまりない。
特に魔理沙は魔符と恋符(あるいは魔理沙単体とアリス単体)の差がボム性能ぐらいしかない。
東方において貫通レーザーはそれほど有利な印象を受けないからだろう。
(硬い敵が縦に重なるといったシーンがなく、地形も存在しないため)
一方でキャラクターの速度差がかなりあり、特に低速時の速度の違いの存在は、風地星と際立った差を見せる。

スペルカード取得にゲーム進行上の意味を持たせようという方向性もあった。
妖々夢のPhontasm出現条件、永夜抄Extraのラストスペル出現条件など。
妖々夢ではスペルカードを15枚以上取得することで反魂蝶で「結界ループ」を発動させるという技すら存在する。
さらに永夜抄LastWordに魔理沙単体&スペルプラクティスでノーマルスペルカード全取得という条件のスペルがあり、
スペルカードを取得するということに意味を付与していく方向だったといえるだろう。

一方でこの頃は修正パッチをちゃんと出していたものの、入力遅延バグは放置され、後々までシューターから批判されることに。


さて、風地星三部作はどうなのだろうか。
紅妖永で実験が繰り返されたステージ数は、風地星では6ステージ+Extraステージで完全固定になった。
スペルカード取得がキャラクターごとの集計のみになり、スペルカード取得をゲーム進行に絡める手法は完全に廃棄された。
入力遅延バグなどは解決された。
低速移動速度が均一化され、一方でキャラクターや装備によってショットは多様になった。

だが、私の見るところ、風地星三部作の特徴は上記の点ではない。
紅妖星三部作になかった最大の特徴といえばそれはズバリ、
「エクステンド・パワー・ボム・点数の関係性強化」なのである。
そもそも風神録でなぜZUN氏はグレイズを廃止したのか。
もちろん封魔録を意識したというのはあるだろう、だがより積極的な理由を見出すなら、
『グレイズ目的の残機潰し、ボム補充のための残機潰しを絶対にさせないシステム』を作りたかったのではないか。
残機潰しは紅魔郷などで稼ぐには必須の手法である。
風神録は、グレイズで倍率などを上げさせるのではなく、
信仰ゲージを切らさないようにアイテムを取り敵を倒し喰らい霊撃を撃つ、「リレーSTG」のようなシステムになっている。
ここで初めてパワーを消費してボム(霊撃)を撃つシステムが出てきた。
パワーを減らしてボムを撃つか、あるいは残機を失うリスクを抱えて点数のために喰らいボムに行くか、
こうした「バーター」があるのが風神録なのである。
システム上は、稼ごうとすると必然的に喰らいボム狙いプレイになり、
従来あった喰らいボムシステムを先鋭化させたシステムになっている。
風神録はグレイズがないため、稼ぎ=残機を潰さない=スペルカードの取得率が高い、という図になり、
(鍵山雛のスペルは早回しの方が得なので喰らい霊撃の餌食になるが)
またボスの通常攻撃でグレイズ稼ぎのために間延びしたプレイにならずに済む。
信仰点リレーと相まって、プレイの美しさ、テンポの良さを成立させたという評価を私は持っている。

地霊殿は、この「エクステンド・パワー・ボム・点数の関係性強化」の方向性の上にある。
道中で得られるパワーが少なく、よりパワーとボムの関係性が強まった。
一方で地霊殿ではグレイズが復活した。
いや、復活したどころかグレイズに特化したシステムになったため、
グレイズ目的やボム補充のための残機潰しという以前の手法も大復活した。
(やはり東方Projectはグレイズがないと盛り上がらない、と思い直したのだろうか。
あるいは風神録を作る前から、グレイズ無しの作品→グレイズに特化した作品という展開を考えていたか、
ここら辺は正直わからない)
一方で、稼がずにクリア目的のプレイをした場合点数に関わるアイテムは一切取る必要がなくなり、
稼ぎプレイとクリアプレイが極端に乖離することになった。

さて、星蓮船である。
もう今までの流れで予測可能だろう。
星蓮船は「エクステンド・パワー・ボム・点数の関係性強化」の最終形態といえよう。
点数とエクステンドが完全に二者択一になっている。
おまけに3面中ボス・5面中ボスが1upを落とす伝統すら消え、稼ぐには極めてストイックなプレイが要求されるようになった。
それに加えて、開始直後から可能な上部回収によって不要と化した、「アイテムを取るスキル」をベントラーシステムに活かす試みが生まれた。
私の見たところ、弾をかわすだけでなく、必要なアイテムをちゃんと取って行くことによって
なにがしかの快感が生まれることを期待して生まれたシステムのような気がする。
これが星蓮船の正体なのではないかと思う。

要するに、風神録、地霊殿、星蓮船は、それぞれ「喰らいボム」、「カスリ」、「アイテム取得」という要素に偏りながら、
シューティングの各要素の関係性を強化しようと先鋭化していった果てなのではないかということ。
そして星蓮船は、余りに尖りすぎてハード以上の異様な難易度と、極端にストイックな稼ぎプレイスタイルを産んでしまった。
だが要素の関係性強化に関しては、これはこれで一定の成果を上げたと言えるのではないか。
(仏への絶対的な帰依を果たすには、残機もボムも全て捨て去りラスボスの前に0-0で立つことが望まれるという、仏教的STG。
極め者は得点すら反転しマイナスになってしまうという……ってことはバグだけど)

問題は、アイテム取得の快楽が、ほとんど生まれずむしろストレスになっているということ、
そしてボス戦においてはベントラーの存在が関与していないということ。
前述の通り、ベントラーはパターン化するには要素が多すぎて、画面中に複数表れる場合はほとんどランダムのように振舞う。
このため、ベントラーを的確に取得することで生まれるはずの快感が、ストレスに塗りつぶされている感がある。

結論を言えば、
「東方星蓮船は今までの流れとしては正統な最新作であるが、
ベントラーを取っていく行為がそのままSTGの気持ち良さにつながらなかったのが、星蓮船の惜しいところだ」
ということである。

決して未だにハードがクリア出来ないから負け惜しみ言ってるわけじゃないよ。
え? ちゃんとした評価は全作品のルナを全キャラ・装備でクリアしてから言え?
……努力します。

追記
茨歌仙第1話考察の中心に据えようと考えていた、
『茨華仙=都良香(仙人)+茨木童子(鬼)で、歌を交わした時に両者が同化したという説』
なのだが、困ったことに仙人としての都良香の伝説がほとんど残っていない。
あったとしても、都が仙人になった経緯というものが、
『菅原道真に官位を抜かれて悔しくて山に籠もっちゃったら仙人になっちゃった』
というものらしく、あまりパッとしない。
富士山についての記事を残すなど、微妙に東方と絡む要素は残っているのだが。

ちなみに、例の「羅城門の下で詩を読んだところの鬼が下の句を接いだが後日菅原道真に見破られた」という話、
この類型の話に菅原道真が登場するのは13世紀の天神信仰が流行してから後だという。
(※都良香像の変質と天神縁起という論文を参考にしました)
となると、菅原道真に先に出世されて憤慨して仙人になったという伝説も同時期に成立したのかもしれない。
『本朝神仙伝』に見える話は古形を残しているようだ。

都良香にあまり印象に残る伝説がないとすると、役小角あたりを調べねばならなくなるが、ここら辺は要検討。
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