2012/08/12
これは2011年11月20日~22日にかけて、長野県大町市八坂を訪れた時の二日目~三日目の旅行記である。
一日目の記事はこちら→旧八坂探訪1
二日目に目指すのはもちろん、大姥が住むと言われる山である。
朝8時に明日香荘を出て、まずは布川峠に向かう途中に鎮座まします高根神社に参る。

そして前日と同じように峠道を行き、9時20分登山口に着く。
前日は登山道を途中で右に折れて山姥ノ滝へ向かったが、この日は真っ直ぐ尾根を進む。
深い落葉樹林に囲まれた道は勾配もきつくなく、非常に快適である。
時々脇道に見える美しい紅葉と大きな松の梢が目を楽しませてくれる。
10時40分、登山道途中の左右前山山城跡に着く。ここには三角点(1006m)がある。
長野県の城跡というと曲輪と空堀で構成された山城というイメージだが、
ざっと見たところでは、頂上部の平坦な部分を区切る堀切以外に城跡らしき構造を見ることはできなかった。
ここで予想外の降雪。ちらほらと舞う程度だが、気温がぐっと下がった。
そのまま尾根伝いに進み、11時25分、大姥山山頂(標高1003m)に着く。
ここにはNHKと民放の巨大なアンテナがある。
山頂から西へ降りるルートを見下ろした時のパノラマは雄大だ。
↓山頂からのパノラマ(画像をクリックすると表示されます)

向こうに見える大きな山は聖山(ひじりやま、標高1447.1m)で、写真ではわからないが手前の大姥山との間に犀川が流れている。
その後は下る一方だが、登りルートとは違い、クサリ場が連続する急勾配である。
こっちから登らなくて良かった。

11時45分、下山途中に西への道を行き大姥が住み金太郎を育てたという「大穴」なる岩屋に着く。
大姥神社の奥社にもなっていて、雰囲気たっぷりである。
↓大穴の全景

↓こちらは天井

岩屋を覆う磐は砂岩で出来ているのか、その下は砂地になっていて獣の足跡もある。
今度は雪ならぬ小雨が降り始めたので、岩屋で雨宿りしながら、
昼飯用に持って来た灰焼きおやきと大町市の名産、黒スズメバチ煎餅を食べる。
美味い。
↓大穴から眺めた風景は、そのまま妖怪が見た風景でもあろう。

12時ちょうどに大穴を出て登山道に戻る。
その後もクサリ場が続き、また巨木が落雷のせいか倒れ臥している場所にも遭遇。
この山には面白い姿の樹木が多く、いかにも妖怪の山といった風情である。
↓登山道をアーチのように覆い絡まる奇妙な樹。

↓巨大な松の木。このような恰幅の良い松が山中あちこちにみられる。(パノラマ合成)

↓二股に分かれた松の根本には風化した石仏らしきものが。

(パノラマ合成しているため上部が黒ずんで見えますが、実際は下部と同じ色調です)
↓登山道を完全に塞いでいる倒木。跨いでいかないと通れない。

↓美しい松の根本。

↓こちらは、非常に巨大な倒木。圧倒的な迫力。

13時20分に大姥神社の本宮に着く。

もちろん祭神は大姥神であり、妖怪と神が一体となった信仰を目の当たりにすることができる。
裏の小屋には、祭りで使うという花火の筒が置かれていた。
さらに山を下りながら、大姥が金太郎の産湯に使ったと言われる「産池」を見に行く。
竹林に囲まれた窪地に緑色の小さな池がある。

14時10分に旧八坂村の西の入り口となる、大姥神社の前宮に着く。
前宮の前には国道19号と犀川が流れている。

手前には道祖神も。

そして犀川沿いに国道19号を下る。
↓犀川の流れ。ここまで来ると、八坂の山中とは別の世界だ。

野平中あたりで西に林道を入って、再び明日香荘を目指す。
ちょうど布宮沢の南を走る林道を徒歩で登っていくわけだが、
地図にない細かな分岐が多く迷いやすい。
16時10分に作の平の峠に着いた頃には日没が迫り、
またもや初冬の夜の闇を味わいながら旅館にたどり着いたのだった。
朝から晩まで一日かけて八坂の西部をぐるっと廻ったのだが、深山幽谷を楽しむことが出来た。
3日目は切久保の諏訪社を見に行く。
白馬にも切久保という地名があるが、八坂の切久保の諏訪社は鷹狩山を背に、東の方を向いている。
七曲(ななまがり)という地名もあり、ひょっとすると博麗神社のモデル候補か、と前々から思っていたのである。
実際に行ってみると、鳥居が石段の中央にある。そして写真の通り杜の中の神社である。
本殿の作りも東方の原作で出てくる博麗神社とは異なる。
しかし博麗神社のモデルでもおかしくない雰囲気はある。

↓八坂切久保諏訪社の本殿。

↓諏訪社から東を眺める。この神社が博麗神社のモデルということはあるか否か。

切久保諏訪社の前は本当に開放的だ。天気も良く、山村の美しい景色が味わえる。
↓切久保諏訪社の手前から東側のパノラマ

さて、信濃大町に出るには、鷹狩山と南鷹狩山の間の峠に行くか、
もう少し南のトンネルを抜けるだが、切久保からは峠を越えるのが近い。
山中にうっすら雪が積もっている中をぐんぐん進みながら振り返ると、八坂の村々が青空の下に見えた。
(パノラマ合成)

↓木立の間の風景。おだやかである。(パノラマ合成)

峠を抜けて大町の側に出ると、雄大な飛騨山脈の山並みが見えた。

この後、塩の道博物館で古民具などをじっくり見てから、帰路についた。
↓江戸時代の塩問屋をそのまま活かした、民俗好きには非常に楽しめる博物館である。

八坂は、「ナチュラル妖怪ヴィレッジ」にふさわしい、陰翳の濃い地であった。
(旧八坂探訪1に戻る)
一日目の記事はこちら→旧八坂探訪1
二日目に目指すのはもちろん、大姥が住むと言われる山である。
朝8時に明日香荘を出て、まずは布川峠に向かう途中に鎮座まします高根神社に参る。

そして前日と同じように峠道を行き、9時20分登山口に着く。
前日は登山道を途中で右に折れて山姥ノ滝へ向かったが、この日は真っ直ぐ尾根を進む。
深い落葉樹林に囲まれた道は勾配もきつくなく、非常に快適である。
時々脇道に見える美しい紅葉と大きな松の梢が目を楽しませてくれる。
10時40分、登山道途中の左右前山山城跡に着く。ここには三角点(1006m)がある。
長野県の城跡というと曲輪と空堀で構成された山城というイメージだが、
ざっと見たところでは、頂上部の平坦な部分を区切る堀切以外に城跡らしき構造を見ることはできなかった。
ここで予想外の降雪。ちらほらと舞う程度だが、気温がぐっと下がった。
そのまま尾根伝いに進み、11時25分、大姥山山頂(標高1003m)に着く。
ここにはNHKと民放の巨大なアンテナがある。
山頂から西へ降りるルートを見下ろした時のパノラマは雄大だ。
↓山頂からのパノラマ(画像をクリックすると表示されます)

向こうに見える大きな山は聖山(ひじりやま、標高1447.1m)で、写真ではわからないが手前の大姥山との間に犀川が流れている。
その後は下る一方だが、登りルートとは違い、クサリ場が連続する急勾配である。
こっちから登らなくて良かった。

11時45分、下山途中に西への道を行き大姥が住み金太郎を育てたという「大穴」なる岩屋に着く。
大姥神社の奥社にもなっていて、雰囲気たっぷりである。
↓大穴の全景

↓こちらは天井

岩屋を覆う磐は砂岩で出来ているのか、その下は砂地になっていて獣の足跡もある。
今度は雪ならぬ小雨が降り始めたので、岩屋で雨宿りしながら、
昼飯用に持って来た灰焼きおやきと大町市の名産、黒スズメバチ煎餅を食べる。
美味い。
↓大穴から眺めた風景は、そのまま妖怪が見た風景でもあろう。

12時ちょうどに大穴を出て登山道に戻る。
その後もクサリ場が続き、また巨木が落雷のせいか倒れ臥している場所にも遭遇。
この山には面白い姿の樹木が多く、いかにも妖怪の山といった風情である。
↓登山道をアーチのように覆い絡まる奇妙な樹。

↓巨大な松の木。このような恰幅の良い松が山中あちこちにみられる。(パノラマ合成)

↓二股に分かれた松の根本には風化した石仏らしきものが。

(パノラマ合成しているため上部が黒ずんで見えますが、実際は下部と同じ色調です)
↓登山道を完全に塞いでいる倒木。跨いでいかないと通れない。

↓美しい松の根本。

↓こちらは、非常に巨大な倒木。圧倒的な迫力。

13時20分に大姥神社の本宮に着く。

もちろん祭神は大姥神であり、妖怪と神が一体となった信仰を目の当たりにすることができる。
裏の小屋には、祭りで使うという花火の筒が置かれていた。
さらに山を下りながら、大姥が金太郎の産湯に使ったと言われる「産池」を見に行く。
竹林に囲まれた窪地に緑色の小さな池がある。

14時10分に旧八坂村の西の入り口となる、大姥神社の前宮に着く。
前宮の前には国道19号と犀川が流れている。

手前には道祖神も。

そして犀川沿いに国道19号を下る。
↓犀川の流れ。ここまで来ると、八坂の山中とは別の世界だ。

野平中あたりで西に林道を入って、再び明日香荘を目指す。
ちょうど布宮沢の南を走る林道を徒歩で登っていくわけだが、
地図にない細かな分岐が多く迷いやすい。
16時10分に作の平の峠に着いた頃には日没が迫り、
またもや初冬の夜の闇を味わいながら旅館にたどり着いたのだった。
朝から晩まで一日かけて八坂の西部をぐるっと廻ったのだが、深山幽谷を楽しむことが出来た。
3日目は切久保の諏訪社を見に行く。
白馬にも切久保という地名があるが、八坂の切久保の諏訪社は鷹狩山を背に、東の方を向いている。
七曲(ななまがり)という地名もあり、ひょっとすると博麗神社のモデル候補か、と前々から思っていたのである。
実際に行ってみると、鳥居が石段の中央にある。そして写真の通り杜の中の神社である。
本殿の作りも東方の原作で出てくる博麗神社とは異なる。
しかし博麗神社のモデルでもおかしくない雰囲気はある。

↓八坂切久保諏訪社の本殿。

↓諏訪社から東を眺める。この神社が博麗神社のモデルということはあるか否か。

切久保諏訪社の前は本当に開放的だ。天気も良く、山村の美しい景色が味わえる。
↓切久保諏訪社の手前から東側のパノラマ

さて、信濃大町に出るには、鷹狩山と南鷹狩山の間の峠に行くか、
もう少し南のトンネルを抜けるだが、切久保からは峠を越えるのが近い。
山中にうっすら雪が積もっている中をぐんぐん進みながら振り返ると、八坂の村々が青空の下に見えた。
(パノラマ合成)

↓木立の間の風景。おだやかである。(パノラマ合成)

峠を抜けて大町の側に出ると、雄大な飛騨山脈の山並みが見えた。

この後、塩の道博物館で古民具などをじっくり見てから、帰路についた。
↓江戸時代の塩問屋をそのまま活かした、民俗好きには非常に楽しめる博物館である。

八坂は、「ナチュラル妖怪ヴィレッジ」にふさわしい、陰翳の濃い地であった。
(旧八坂探訪1に戻る)
スポンサーサイト
- | コメント:(0) | トラックバック:(0) |
- スレッド:国内旅行記 | ジャンル:旅行