東方の元ネタとおぼしき書籍・漫画を色々と読む
カテゴリ:東方
2010/07/28
ここ数日、古い漫画や本ばかり読んでいる。
以前twitterの方で話題になった東方の元ネタになった書籍のうち
自分が持ってなかった本を色々と購入したのだが、
読む暇がなくて山積みになっていた。
どうせ夏コミが終わったらゲームばかりやることになるので、
その前に読めるものは読んでおこうというわけ。
・書籍
書籍の方は、先日NHKの番組「MAGネット」で東方Project特集が組まれた際、
ZUN氏の本棚が映ったので、その棚にあった書籍を中心に読んでいる。
ざっと読んだところでは、
楽しい昆虫料理
がなかなか楽しい。
私も諏訪に旅行した時に昼飯を蚕の佃煮で済ませたほど昆虫食に対して拒否感はないので、
こういう本を読んでいると食べたくなってくる。
(海老や蟹も昆虫も同じ節足動物だしね)
もう一冊
東京の階段
という写真集も興味深いものだった。
江戸は山を切り崩し川を付け替えて作りあげた都市であり、昔から坂だらけ橋だらけの都市だった。
そこで階段をテーマにした写真集が出るのはわかるのだが、この写真集、本当に「階段」しか写っていない。
「階段から見た風景」ではなく「階段のある風景」の写真集といえば良いだろうか。
階段マニアのためだけにあるような本だが、知っている階段が多く一般人(?)にも楽しめる。
……とまあ、30冊足らずもあるので、ZUN氏の本棚にあった書籍の感想はいずれまた(なんだかな)
今のところ、萩原雅紀氏の写真集「ダム」、珍寺大道場、食材辞典、異都発掘、雪月花の数学の5冊は未入手。
全体としてかなりライトなものばかりという印象。
特に妖怪や神話を扱った本にディープなものがない。
ただこれについてはZUN氏の発言などを聞いているとディープなものは必要ない、というスタンスかもしれない。
・漫画
竹本泉のいわゆる東方元ネタ系の作品や近藤るるるの『天からトルテ!』、荒俣宏×藤原カムイ『帝都物語』
加倉井ミサイルの『鴻鵠館1301』、大塚英志×ひらりん『三つ目の夢二』(これはZUN氏の本棚にあったもの)
などを読む。
昔から持っていたものもあり、新しく購入したものもあるのだが、
amazonで古本を探すと竹本泉の作品はほとんどある。
便利な世の中だ。
竹本泉
竹本作品では
ルプ★さらだ(山歩きの元ネタ)
はたらきもの(ふわふわエレンが登場)
さよりなパラレル(小さくても必殺の武器)
アップルパラダイス(朝ヶ丘絵理子が登場)などを読む。
読んでまず思ったこと。
今の竹本泉が描く女の子よりも1990年代の頃に描かれた女の子の方が可愛い。
(不思議とこれは近藤るるるにも当てはまってしまうが、)
今の竹本泉の絵柄は丸みを帯びたデザインで、私はあまりのめり込めないのだが、
上記の作品に描かれる女の子はスラリとした顔立ちをしており清楚な魅力がある。
単純に私が古い絵柄の方が好みということもあるのかもしれないが……
読んだ作品はどれも面白く、現在でも充分通用する作品だと思う。
東方の元ネタということを除けば、
『ルプ★さらだ』が一番面白く読むことが出来た。
第6話の「先頭の自動車」というネタなどはいかにも子供が思いつきそうな発想で秀逸。
『アップルパラダイス』は登場人物が多いためドラマという点では他の作品より魅力がある。
学校の中を川が流れるという話など、かなり変だけど弱めの着想でもキャラクターでカバーしている。
東方の元ネタという点では、太陽の中に住むカラスを矢で射落とす話など、
2000年代の東方作品とも関係ありそうなネタがあるが、
有名すぎるネタなので竹本泉が元ネタなのかどうか判別しづらい。
『はたらきもの』に関しては、東方の元ネタとして考察屋の間で有名な「ふわふわパチパチ」よりも
「ロケット・ガール」の方が話として印象に残った。
この話では、いかにも「前時代的」という形容がふさわしい形のロケットが登場する。
手塚治虫の漫画に出てくるようなあれ。
あるいはエルジェが描いた世界的な冒険漫画タンタンの『月世界旅行』に登場するロケットといえばよいか。
ああいうロケットが登場すると、それだけで心が和む。
私は手塚世代でも、ましてやエルジェ世代でもないのだが摺りこみ(漫画的教養?)というのは恐ろしいものだ。
他にも竹本作品のうち東方の元ネタとして名が挙がるのは
『ちまりまわるつ』『魔法使いさんおしずかに!』『てきぱきワーキン?ラブ』など10作品ほど。
機会を見つけて読みたい。
加倉井ミサイルの『鴻鵠館1301』
この漫画に、紅美鈴のスペルカード「セラギネラ9」の元ネタになる麻薬が登場するというので購入。
近代の香港を舞台にした、風水アクションものといえば良いだろうか。
まあはっきり言って、よくありがちな漫画である。
が、ZUN氏が好きな上海の租界とも通じるオリエンタルな雰囲気の漫画。
第2話のタイトルがずばり「セラギネラ9」で、
9歳までの免疫がない少女の体を苗床に栽培する麻薬植物の名前がセラギネラ、
そしてその話の中で麻薬植物の苗床にされている少女の名前もセラギネラである。
あまりストーリー的に見るべきものはないが、
ヒロインの「イデア」という少女の髪型が、茨華仙に似ていることに気づいた。
先日ブログで、髪型はチュンリーを思わせると書いたが、
ひょっとするとデザインの着想はイデアかもしれない。
近藤るるるの『天からトルテ!』
割と有名な作品らしいが、読んだのは初めて。それも4巻まで。
全14巻もあるらしいので最初の部分しか知らないことになる。
まあZUN氏もこの漫画をちゃんと読まずにキャラクターのテーマ曲を作ってしまったらしいけど
ファミ通というとゲーム帝国とかドキばくの印象しかない……
うん。トルテは可愛い。
作品としての感想はそれに尽きる。
プディングやマカロンはそんなに惹かれないが、それはまあ人それぞれ。
ウニほかアスキー社員も、みさいル小野以外は印象が薄い。
セガとバンダイの合併のネタが出てきたのはちょっと泣けた。
意外に、東方の元ネタっぽい要素満載である。
・トルテの口癖「あやややや!」
・マカロンの口癖「あーうー」
・シューの肩に止まるニルギリ(カラス)
・なんでもしまえるトルテのスカートの中
・トルテが作る星型の薬
・巻末解説の「~程度の能力」という書き方
ここら辺はかなり元ネタの臭いがする。
もっとも、考察の掲示板などでは風神録の射命丸文のセリフ「あやややや」と洩矢諏訪子のセリフ「あーうー」は
竹本泉が元ネタという話もあり。
少なくとも大平首相の口癖を直接元ネタにするよりは、トルテとマカロンの方が近そうだ。
トルテが作る星型の薬は、魔理沙の魔法と良く似ている。
特に依姫に食べられて甘いと言われたスターダストレヴァリエのイメージ。
トルテの薬と言えば、上海アリス幻樂団のCD『蓬莱人形』にも載った、Witch of Love Potionがただちに思い浮かぶ。
まだWindows版東方を作る前にZUN氏が作曲したのがこの曲で、
元は『天からトルテ!』の二次創作としてぴえとろ氏が作ったフリーSTG『トルテルマジック』のために書かれた曲。
個人的な勘としては、Windows以降の霧雨魔理沙には、『天からトルテ!』が少なからず影響を与えているように見える。
なお、シューというキャラの肩に止まって現れるニルギリというカラスも射命丸文を想起させるが、
肩に止まるカラスという図は古代からあって、どれが元ネタとは言いづらい。
漫画でも、例えば冬目景の『イエスタデイをうたって』に登場する、野中晴が肩にカンスケというカラスを止まらせている。
なのでこれは参考程度に。
などと書いていたら出勤時間である。
例によって、話題にした書籍を読んだ人にしかわからない文章になってしまった。
東方の元ネタには少なからず関心があるので、いずれちゃんとまとめられたらなあと思っているのだがはてさて。
追記
茨歌仙、改めて読み直すと違った印象を受ける。
界隈では、十訓抄から引用された文句の「水」が「氷」の誤植ではないか、というのが話題である。
渡辺綱に腕を切られた鬼が京の羅城門に住んでおり、
都良香が羅城門を通ったときに「気霽風梳新柳髪」と句をつぶやくと、
その後を継いで、鬼が「氷消波洗旧苔鬚」と言った。
後日、都良香が菅原道真の前でその詩を披露すると、
「後の句は鬼が作ったのだろう」と道真が見破ったという話である。
都良香は日本の仙人として伝説化された人物であり、
仮に茨華仙が都良香+茨木童子だとすると、歌を交わした時に両者が同化した、
という展開もありそうだし、名前が二つあるのもわかる。
なかなか奇想天外な話になるかもしれない。
まあ、読み返して思ったのは、霊夢と魔理沙がガラスのコップにストローで何かを飲んでいるシーンで、
コップの中に氷のようなものがあるということ。
博麗神社で製氷できるという話があったか記憶にないのだが、どうなんだろう。
以前twitterの方で話題になった東方の元ネタになった書籍のうち
自分が持ってなかった本を色々と購入したのだが、
読む暇がなくて山積みになっていた。
どうせ夏コミが終わったらゲームばかりやることになるので、
その前に読めるものは読んでおこうというわけ。
・書籍
書籍の方は、先日NHKの番組「MAGネット」で東方Project特集が組まれた際、
ZUN氏の本棚が映ったので、その棚にあった書籍を中心に読んでいる。
ざっと読んだところでは、
楽しい昆虫料理
がなかなか楽しい。
私も諏訪に旅行した時に昼飯を蚕の佃煮で済ませたほど昆虫食に対して拒否感はないので、
こういう本を読んでいると食べたくなってくる。
(海老や蟹も昆虫も同じ節足動物だしね)
もう一冊
東京の階段
という写真集も興味深いものだった。
江戸は山を切り崩し川を付け替えて作りあげた都市であり、昔から坂だらけ橋だらけの都市だった。
そこで階段をテーマにした写真集が出るのはわかるのだが、この写真集、本当に「階段」しか写っていない。
「階段から見た風景」ではなく「階段のある風景」の写真集といえば良いだろうか。
階段マニアのためだけにあるような本だが、知っている階段が多く一般人(?)にも楽しめる。
……とまあ、30冊足らずもあるので、ZUN氏の本棚にあった書籍の感想はいずれまた(なんだかな)
今のところ、萩原雅紀氏の写真集「ダム」、珍寺大道場、食材辞典、異都発掘、雪月花の数学の5冊は未入手。
全体としてかなりライトなものばかりという印象。
特に妖怪や神話を扱った本にディープなものがない。
ただこれについてはZUN氏の発言などを聞いているとディープなものは必要ない、というスタンスかもしれない。
・漫画
竹本泉のいわゆる東方元ネタ系の作品や近藤るるるの『天からトルテ!』、荒俣宏×藤原カムイ『帝都物語』
加倉井ミサイルの『鴻鵠館1301』、大塚英志×ひらりん『三つ目の夢二』(これはZUN氏の本棚にあったもの)
などを読む。
昔から持っていたものもあり、新しく購入したものもあるのだが、
amazonで古本を探すと竹本泉の作品はほとんどある。
便利な世の中だ。
竹本泉
竹本作品では
ルプ★さらだ(山歩きの元ネタ)
はたらきもの(ふわふわエレンが登場)
さよりなパラレル(小さくても必殺の武器)
アップルパラダイス(朝ヶ丘絵理子が登場)などを読む。
読んでまず思ったこと。
今の竹本泉が描く女の子よりも1990年代の頃に描かれた女の子の方が可愛い。
(不思議とこれは近藤るるるにも当てはまってしまうが、)
今の竹本泉の絵柄は丸みを帯びたデザインで、私はあまりのめり込めないのだが、
上記の作品に描かれる女の子はスラリとした顔立ちをしており清楚な魅力がある。
単純に私が古い絵柄の方が好みということもあるのかもしれないが……
読んだ作品はどれも面白く、現在でも充分通用する作品だと思う。
東方の元ネタということを除けば、
『ルプ★さらだ』が一番面白く読むことが出来た。
第6話の「先頭の自動車」というネタなどはいかにも子供が思いつきそうな発想で秀逸。
『アップルパラダイス』は登場人物が多いためドラマという点では他の作品より魅力がある。
学校の中を川が流れるという話など、かなり変だけど弱めの着想でもキャラクターでカバーしている。
東方の元ネタという点では、太陽の中に住むカラスを矢で射落とす話など、
2000年代の東方作品とも関係ありそうなネタがあるが、
有名すぎるネタなので竹本泉が元ネタなのかどうか判別しづらい。
『はたらきもの』に関しては、東方の元ネタとして考察屋の間で有名な「ふわふわパチパチ」よりも
「ロケット・ガール」の方が話として印象に残った。
この話では、いかにも「前時代的」という形容がふさわしい形のロケットが登場する。
手塚治虫の漫画に出てくるようなあれ。
あるいはエルジェが描いた世界的な冒険漫画タンタンの『月世界旅行』に登場するロケットといえばよいか。
ああいうロケットが登場すると、それだけで心が和む。
私は手塚世代でも、ましてやエルジェ世代でもないのだが摺りこみ(漫画的教養?)というのは恐ろしいものだ。
他にも竹本作品のうち東方の元ネタとして名が挙がるのは
『ちまりまわるつ』『魔法使いさんおしずかに!』『てきぱきワーキン?ラブ』など10作品ほど。
機会を見つけて読みたい。
加倉井ミサイルの『鴻鵠館1301』
この漫画に、紅美鈴のスペルカード「セラギネラ9」の元ネタになる麻薬が登場するというので購入。
近代の香港を舞台にした、風水アクションものといえば良いだろうか。
まあはっきり言って、よくありがちな漫画である。
が、ZUN氏が好きな上海の租界とも通じるオリエンタルな雰囲気の漫画。
第2話のタイトルがずばり「セラギネラ9」で、
9歳までの免疫がない少女の体を苗床に栽培する麻薬植物の名前がセラギネラ、
そしてその話の中で麻薬植物の苗床にされている少女の名前もセラギネラである。
あまりストーリー的に見るべきものはないが、
ヒロインの「イデア」という少女の髪型が、茨華仙に似ていることに気づいた。
先日ブログで、髪型はチュンリーを思わせると書いたが、
ひょっとするとデザインの着想はイデアかもしれない。
近藤るるるの『天からトルテ!』
割と有名な作品らしいが、読んだのは初めて。それも4巻まで。
全14巻もあるらしいので最初の部分しか知らないことになる。
ファミ通というとゲーム帝国とかドキばくの印象しかない……
うん。トルテは可愛い。
作品としての感想はそれに尽きる。
プディングやマカロンはそんなに惹かれないが、それはまあ人それぞれ。
ウニほかアスキー社員も、みさいル小野以外は印象が薄い。
セガとバンダイの合併のネタが出てきたのはちょっと泣けた。
意外に、東方の元ネタっぽい要素満載である。
・トルテの口癖「あやややや!」
・マカロンの口癖「あーうー」
・シューの肩に止まるニルギリ(カラス)
・なんでもしまえるトルテのスカートの中
・トルテが作る星型の薬
・巻末解説の「~程度の能力」という書き方
ここら辺はかなり元ネタの臭いがする。
もっとも、考察の掲示板などでは風神録の射命丸文のセリフ「あやややや」と洩矢諏訪子のセリフ「あーうー」は
竹本泉が元ネタという話もあり。
少なくとも大平首相の口癖を直接元ネタにするよりは、トルテとマカロンの方が近そうだ。
トルテが作る星型の薬は、魔理沙の魔法と良く似ている。
特に依姫に食べられて甘いと言われたスターダストレヴァリエのイメージ。
トルテの薬と言えば、上海アリス幻樂団のCD『蓬莱人形』にも載った、Witch of Love Potionがただちに思い浮かぶ。
まだWindows版東方を作る前にZUN氏が作曲したのがこの曲で、
元は『天からトルテ!』の二次創作としてぴえとろ氏が作ったフリーSTG『トルテルマジック』のために書かれた曲。
個人的な勘としては、Windows以降の霧雨魔理沙には、『天からトルテ!』が少なからず影響を与えているように見える。
なお、シューというキャラの肩に止まって現れるニルギリというカラスも射命丸文を想起させるが、
肩に止まるカラスという図は古代からあって、どれが元ネタとは言いづらい。
漫画でも、例えば冬目景の『イエスタデイをうたって』に登場する、野中晴が肩にカンスケというカラスを止まらせている。
なのでこれは参考程度に。
などと書いていたら出勤時間である。
例によって、話題にした書籍を読んだ人にしかわからない文章になってしまった。
東方の元ネタには少なからず関心があるので、いずれちゃんとまとめられたらなあと思っているのだがはてさて。
追記
茨歌仙、改めて読み直すと違った印象を受ける。
界隈では、十訓抄から引用された文句の「水」が「氷」の誤植ではないか、というのが話題である。
渡辺綱に腕を切られた鬼が京の羅城門に住んでおり、
都良香が羅城門を通ったときに「気霽風梳新柳髪」と句をつぶやくと、
その後を継いで、鬼が「氷消波洗旧苔鬚」と言った。
後日、都良香が菅原道真の前でその詩を披露すると、
「後の句は鬼が作ったのだろう」と道真が見破ったという話である。
都良香は日本の仙人として伝説化された人物であり、
仮に茨華仙が都良香+茨木童子だとすると、歌を交わした時に両者が同化した、
という展開もありそうだし、名前が二つあるのもわかる。
なかなか奇想天外な話になるかもしれない。
まあ、読み返して思ったのは、霊夢と魔理沙がガラスのコップにストローで何かを飲んでいるシーンで、
コップの中に氷のようなものがあるということ。
博麗神社で製氷できるという話があったか記憶にないのだが、どうなんだろう。
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