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2012/10/27

コンプエース2012年12月号(2012年10月25日発売)にて、
東方Projectの新連載漫画『東方鈴奈庵 ~ Forbidden Scrollery.』
の連載がついに始まった。
「原作:ZUN、漫画:春河もえ」ということで、未成年女性の謎の漫画家を登用したのは東方茨歌仙のあずまあやを思い起こす。
東方の公式作画担当は女性作家が多い。
少女を描くのも少女、なんて選考基準があるのかも?

「春河もえ」の同人歴その他は明らかになっていない。
茨歌仙のあずまあやが、小此木哲朗氏の不用意なフォローなどであっけなくバレてしまったのは記憶に新しい。
前号で、「博麗神主・ZUNが描く親境地(ママ)を若き女性作家・春河もえが繊細に描く!」
と打ったので、春河もえが何者か、と東方ファンに探りを入れさせるのも角川の戦略なのだろう。

第1話のタイトルは「幻想の稀覯本」。
主人公は幻想郷の人里で貸本屋「鈴奈庵」を営む「本居 小鈴(もとおり こすず)」
二つ名のように「判読眼のビブロフィリア」とつく。
能力は明言されていないが、古代の文字を読むことが出来るようだ。
(最近、目覚めたとある)
ただ読書中に妖怪らしき像が飛び出ていることから、さらに別の能力があると見るべきだろう。
本居小鈴の一番の謎は「人間なのか妖怪なのか作中で明言されていない」ということだ。
霊夢は人間として扱っているようだが、小鈴が妖怪である可能性はある。
(つまり今後、小鈴が妖魔本からうっかり妖怪を呼び出しては、霊夢が退治するはめになる、
とパターンで展開する可能性もある)

本居小鈴の容姿は、カラー絵だと赤から茶色の髪、赤い瞳に白い肌。
名前の通り、髪の左右に鈴の髪飾りをつけている。
衣服は、上は紅と白(あるいは薄い桃色)の市松模様の振袖、下は緑色のスカート、足にはブーツ。
そして胸のところに「KOSUZU」と書かれた黄色のエプロンをしている。
(自分の名前を正面にでかでかと書くとは自己アピール激しい娘である。店名の「鈴奈庵」はエプロンの右下に書かれている)
背は霊夢や魔理沙よりも低いようだ。
胸もほとんどないが、春河もえが描く女性はみんな胸がないように見えるので、設定なのか画風なのかはわからない。
阿求と同じように蓄音機を聴くシーンがある。曲は不明だが、PC-98時代の曲か。
あるいは、歌詞は描かれていないものの、本居長与作曲の「青い目の人形」あたりかもしれない(後述)
作中を通して髪飾りの鈴がチリンと鳴っている描写はない。
(阿求が訪れた時チリンと鳴っているが、あれは客の訪れを報せる入口の鈴だろう)
そもそも店番やるにせよ読書するにせよ音楽鑑賞するにせよ、髪飾りの鈴がチリンチリン鳴っては耳障りなだけだ。
よって小鈴の髪飾りの鈴には玉が入っていないのではないか。

阿求が客として訪れている他、霊夢に小鈴の家を「小鈴んち」と言われているほどなので、
霊夢ともそれなりの顔見知りであるようだ。
(霊夢・魔理沙と小鈴の間が、高校生の上級生と下級生のやり取りのように見える雰囲気だ)
貸本屋「鈴奈庵」は貸本、書籍の売買、小規模な印刷・製本をやっているそうだ。
阿求が書いた「幻想郷縁起」もここで印刷・製本されたという。
求聞史紀は角川ではなく一迅社の商品だが、角川も「鈴奈庵謹製」の書籍を出す計画だろうか?
三月精のようにSTG化するよりも、角川の利益にするなら書籍だろう、などという今後の展開を考えての設定かもしれない。
香霖堂は「株式会社香霖堂」の方に使われたが、「鈴奈庵」のネーミングがどう活用されるかは注目すべき点だろう。
(ちなみに、東方求聞史紀を印刷製本したのは「図書印刷株式会社」である)

肝腎の第1話の内容を要約しよう。
「阿求が鈴奈庵から妖魔本(妖怪が書いた本)を借りていた。それを知った魔理沙が、
霊夢をともなって鈴奈庵に行った。そして鈴奈庵の店主が小鈴が妖魔本の説明をした」
これだけの話であった。
つまり主人公本居小鈴および鈴奈庵で扱う妖魔本の説明だけで第1話が終わってしまったのである。
なので、今後の展開だとか作品そのものが期待できるかどうかは第1話ではまったくわからない。
これが偽らざる感想である。

※追記
読書中に小鈴が呪文を唱えているように見えるコマがあり、それに伴って書物から妖怪がシュルシュル出てくるように見えること、
「ご飯ができたよー」と呼ばれて部屋から出て行った後、意味深なコマがあること、
ここから考えると、これらの描写が次回以降の伏線になっている可能性はある。
例えば、(後述するように)宣長愛用の鈴(付喪神)を髪につけて能力が発現した小鈴が、
妖魔本から妖怪を召喚して騒動を引き起こす、などの展開が考えられる。

話はそれほど奥深いものではないので、元ネタなどの考察をしてみよう。
・本居小鈴の容姿の元ネタ。
この鈴の髪飾りは鳥山石燕の『百器徒然袋』に描かれた「鈴彦姫」がモチーフか。
鈴の付喪神、つまり妖怪だ。それも鳥山石燕の創作妖怪のようだ。さらに石燕は、鈴彦姫を天鈿女(アメノウズメ)と関連させている。
アメノウズメといえば東方儚月抄で綿月依姫が降ろした神の一柱。天岩戸から天照を引き出したのはこのアメノウズメの舞踊である。
ただし、作中で、髪飾りの鈴がまったく鳴っていないので、「鈴」奈庵の小「鈴」が完全に名前倒れに終わる可能性が、大いにある。
(茨歌仙なんて、「茨」も「歌」もまるで作中に登場しない)

・副題の「Forbidden Scrollery」のネタ
scrolleryは辞書に載っていない単語なのだが、イングランド語圏での使用のされ方は大別して二つある。
一つは、アラベスクの唐草文様で描かれる「巻き」のデザインを意味するscrolleryだ。
Googleの画像検索なら、この意味でのscrolleryが沢山出てくる。
(東方鈴奈庵に急速に浸食されつつあるので、Google書籍検索の方が使用例を確認しやすいかも)
もっとも、語としては同じ意味のscrollworkが広く使われている。(Wikipediaの記事
よってこれが美術界・デザイン界の用語かわからないが、語としての歴史はかなりありそう。
そして(現実には唐草という名の植物は存在しないので)、唐草を幻想の植物と見なせばscrolleryはぴたりと来る。

もう一つが、1947年に発見された「死海文書」(Dead Sea Scrolls)を研究するために造られた研究室「Scrollery」。
この部屋はパレスチナの考古学博物館にある。
前述のscrolleryとはまったく別に、おそらくScrolls(巻物)の語感から生まれたのだろう。
こちらはGoogleの書籍検索で「Scrollery Dead Sea」を検索にかけると沢山出る。
Wikipediaの「Dead Sea Scrolls」の項でも「Scrollery」が使われている。
ここで、おやおや、と思う人も多いだろう。
死海文書を日本のサブカル界で一躍有名にしたのが「新世紀エヴァンゲリオン」に登場する「裏死海文書」である。
そして、Forbiddenが「禁断の」という意味だから、
Forbidden Scrolleryは「禁断の死海文書研究室」つまり意訳すれば「裏死海文書研究室」になってしまうのである。
さらに来月の17日には「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」が劇場公開されるタイミング、
いうまでもなく、東方鈴奈庵を連載しているのはヱヴァ全押しの角川書店、
そしてZUN氏は新劇場版の序と破を観ている。
(twitter上で「いまさらになってエヴァ破を観る事にした」
「所詮、一回テレビで序を見ただけの人間の手に負える代物では無かった。後で解説して貰おうっと」と言っている)
妖精大戦争も角川の映画「妖怪大戦争」を意識したネーミングだったので、今回もそういうことはありうる。
もちろん、意識したのは「Forbidden Scrollery」を名付けたその時限りで、
鈴奈庵のストーリーと関わる可能性はほとんどないかも知れない。
(茨歌仙もHornedなどとつけておいて、茨華仙の角はまったく明らかになっていない)

・本居小鈴という名について
「本居」姓といえば本居宣長である。古事記伝を著した人物なのだから、それが元ネタなら阿求とのつながりも明快。
本居宣長の住居を「鈴屋(すずのや)」と言い、そこに弟子を集めたことから宣長は「鈴屋大人(すずのやのうし)」と呼ばれていた。
講義の時に着た服は現在では「鈴屋衣」と呼ばれるほど独特の服で、本居宣長の肖像画にもよく描かれている。
鈴屋にはその名の通り鈴が沢山あった(あるいは寄贈された)という。
鈴屋の命名も、宣長が読書中の気分転換によく「柱掛鈴」という鈴を鳴らしていたことから来ているようだ。
このように鈴と宣長のつながりは深い。

……のだが、小鈴の元ネタが本居宣長確定、ではそのまますぎて考察にはならないので、もう一人本居姓の有名人を上げる。
それは「本居長世(もとおりながよ)」。
本居宣長の6代目の子孫で、明治から戦中まで生きた男性の童謡作曲家である。
注目するべきは、野口雨情作詞、本居長世作曲の「青い眼の人形」があること。
「赤い靴」と同じく異国情緒のある曲だが、東方ファンなら音楽CD「蓬莱人形」で「青い目の人形」が出てきたことを思い出すだろう。
「青い眼をした お人形は アメリカ生れの セルロイド」と歌われるこの曲をZUN氏が知っていた可能性はある。
ちなみにこんな曲である。
すると、第1回で小鈴が聞いていたのはこの曲かもしれない、と考えると趣きがあるかもしれない。

一方「小鈴」という名は、あまりぱっとしない。
「レトロスペクティブ京都」と「みずいろの雨」の関連で行けば、アニメ「天馬天平」で使われたとされる、
堀江美都子の「小鈴のうた」なんて歌謡がある。
しかし歌われる小鈴は、男勝りで唐手を使う女の子なので、本居小鈴のイメージからは遠い。

※追記
付喪神の「鈴彦姫」がモチーフならば、本居宣長が愛用していた「古鈴」(これい)から「小鈴」というネーミングかもしれない。
すると、本居小鈴は妖怪で付喪神か、あるいは宣長の子孫(人間)が古い鈴を見つけて髪飾りにしたら融合して能力発現&妖怪化、
なんて展開もありえそうだ。
連載前予想されていた与謝野蕪村ネタは第1回にはなさそうだが、タイトルでは鈴奈庵の「庵」の字に蕪が描かれている。
こちらの線も余地は残る。

・古代天狗語
神代文字には似たような文字はない。伊豆半島伊東の佛現寺に伝わる「天狗の詫び証文」の字とも違う。
近いのはロロ文字(彝文字)だが、ぴたりとは来ない。
読めれば面白いが、適当に古代文字っぽいものを創作しただけか。
文字・言語のネタといえば、紅魔郷の魔理沙Bエンディングで、魔理沙がエスペラント語の本を読んでいたり、
書籍の文花帖で、古い日本語が書かれた隕石をフランが破壊したり(神代文字?)と、紅魔館と絡むことが多い。
妖魔本も、四コマ儚月抄で鈴仙・てゐが大図書館を訪れた時のシーンのようにパチュリーと親和性がある。
文字・言語のネタをZUN氏が好むというのはあるかもしれないが、
角川としては人気のある紅魔館を絡めて行きたいだろう。そこの兼ね合いが小鈴の設定からどうなるか、
茨歌仙のようになるべく紅妖永キャラを排除する方向になるのか、それも今後注目ポイントだろう。

追記:
天狗の詫び証文に関しては、昨年ZUN氏が伊豆半島の温泉に入った旨公言したのを思い出す人も多いだろう。
この写真である。
2011年3月5日なので、この温泉が伊東なら、その時に天狗の詫び証文も取材したのかもしれない。

・二つ名
それっぽい二つ名がつくのは茨歌仙と同じ流れ。鈴奈庵では何故か日本語の形容にイングランド語が続くパターン。
「判読眼のビブロフィリア」本居小鈴、
「九代目のサヴァン」稗田阿求、
「極めて普通のマジシャン」霧雨魔理沙、
「楽園の素敵なシャーマン」博麗霊夢、
とこんな感じだ。
稗田阿求の「サヴァン」は「碩学」という意味だが、日本でこの語が使われる時はまず「サヴァン症候群」と絡む。
明らかに、それを意識しているのだろう。そうでないなら「サヴァント」と書いただろうし。
本居小鈴はビブロフィリアとされている。語の意味としては、読書家よりも、物質としての本を愛でる要素が強い。
おそらく妖魔本蒐集と絡んでいるのだろう。


ざっとネタとして気になったのは以上か。
阿求の服装が振袖になっていたり、人里の風景が出てきたり(周りの高い山々に囲まれている景色とか)
ネクロノミコンとか(クトゥルフ神話ネタはちょっとありきたりすぎてどうかと思うが……
次回魔理沙がネクロノミコンを盗むのでもない限り、ヴォイニッチ手稿と同じく1回きりのネタになりそう)
他にも色々語れそうだが、ネタの深度はあまりない。

追記:
気になったのが、ネクロノミコンについて、
「しかも、第一漢字写本」と小鈴が言っていたこと。
「第一漢字写本」という語の意味はわからなかったが、読み直して誤記である可能性もあるかと思った。
つまり、初期稿では「第一(、)漢字写本」だった文を、「しかも、漢字写本」とZUN氏は訂正したつもりで、
「第一」を消し忘れ、「しかも、第一漢字写本」になってしまったのではなかろうか。
この場合は単行本で修正される可能性があるだろう。

一方で、お酒やお茶を飲むシーンがなかったり、人里に住むモブの人々がほとんど描かれなかったり、
ありそうでない描写も多い。(ただ口絵には人里の中を通る水路や人力車とおぼしきものが描かれた)
描かれたコンプエースの表紙は先月号(2012年11月号)のものだろう。
ちょっとひねりが足らないような……(設定上は問題だし)
むしろ三月精旧版だとかカラフルピュアガールを描いてくれれば……。

ま、まだまだ第1話である。
若い女性作家のおそらく商業デビューなので、今後の展開を大いに期待するとしよう。
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